Share
「本当だ。これは、きつい」隣家の壁を叩く騒音に3ヶ月耐えた私→記録を手に管理会社を動かした結果
INDEX

「本当だ。これは、きつい」隣家の壁を叩く騒音に3ヶ月耐えた私→記録を手に管理会社を動かした結果
壁越しに響き続ける音
その音に気づいたのは、引っ越してきて間もない頃だった。斜め前の家から、何かを叩くような音が響いてくる。
パン、パン、パン。ビニール袋か、それとも布か。乾いた音が、朝から晩まで途切れなく続く。
最初は工事の音かと思った。でも何日たっても、休みの日も、その音はやまなかった。
「一日中パンパン鳴る」
夫にそう訴えても、最初は「気のせいじゃない?」と取り合ってくれなかった。けれど窓を開けた瞬間、彼の顔色も変わった。
「……本当だ。これは、きつい」
いつ始まるか分からないのが、いちばん神経に障った。静かになったと思えば、また突然パンパンと鳴り出す。その繰り返しに、私は少しずつ追い詰められていった。
子どもの昼寝も、私の在宅仕事も、その音のたびに中断された。「またか」と身構える自分に気づいて、ため息が出た。
「そろそろ、本気で考えないと」
夫の言葉に、私も黙ってうなずいた。
記録を武器に相談する
ただ我慢するのはやめようと決めた。感情的に隣へ怒鳴り込んでも、こじれるだけだ。
「ちゃんと筋を通して、動いてもらおう」
私はまず、記録を取ることにした。音が鳴った日付と時刻、続いた長さを、ノートに一つずつ書き留めていく。スマホの録音も残した。
ネットで調べると、こうした近隣トラブルは記録の積み重ねが物を言うと書いてあった。
「これなら、私にもできる」
地道な作業を淡々と続けた。
三か月分の記録がたまった頃、それを手に地域の相談窓口と住宅の管理会社を訪ねた。
「これだけの頻度と時間、続いています」
ノートと録音を示すと、担当者の表情が引き締まった。
「ここまで記録があれば、こちらから正式に対応できます」
曖昧だった話が、はっきりと前に進み始めた瞬間だった。
「一人で抱え込まなくて大丈夫ですよ」。そう言ってもらえただけで、張り詰めていた気持ちが少しほどけた。
後日、管理会社と自治体の担当者が連携し、相手の家へ丁寧に事情を確かめてくれた。詳しい事情は分からないままだったが、対応が入ってから、あの音はぴたりとやんだ。
音が消えた最初の朝は、かえって落ち着かなかった。耳が、まだあのパンパンという音を探していた。
数日たっても、静かなままだった。
「……静かだね」
夜、夫がぽつりと言った。あたりまえの静けさが、こんなにありがたいものだとは思わなかった。
感情に任せず、記録を積み上げて筋道を通したことが、結局はいちばんの近道だった。窓の外から聞こえるのは、もう風の音だけだ。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


