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「夕食のおかず、少なくない?」と文句を言う夫→妻が夫に6万円を握らせたワケ

物価高の食卓に飛んだ一言
その日も夫は、テーブルに並んだ夕食をじっと見つめていた。箸をつける前から眉間にしわを寄せ、私の顔をちらりと見ては、わざとらしくため息をつく。
「なにか、不満でもあるの?」
私が尋ねると、夫はあきれ顔でこう言い放った。
「夕食のおかず、少なくない?」
私は思わず菜箸を置いた。
ここ最近は物価高で食材がどれも値上がりし、家計に占める食費の比重は膨らむ一方だ。
毎月ぎりぎりでやりくりして、それでも品数を減らさないように、安い食材を組み合わせて工夫してきたつもりだった。
その苦労を一言も知らないまま、夫は「量が少ない」とだけ言う。
作る側の見えない努力が、まるでなかったことにされた気がして、静かに腹が立った。
6万円を握らせた妻の反撃
翌朝、私は財布から一カ月分の食費、6万円を取り出した。
そして食卓に座る夫の手に、それをぎゅっと握らせた。
「6万渡すから1カ月作って」
夫は面食らった顔で「え、俺が?」とつぶやいた。それでも引き下がるのは悔しかったのだろう。
「余裕だろ、これだけあれば」と胸を張ってみせた。
台所に立った夫の挑戦は、最初の数日こそ勢いがあった。
スーパーで大きな肉のパックをかごに放り込み、得意げに炒め物を作っていた。
だが一週間もすると、冷蔵庫の前で腕を組んで固まる時間が増えていった。特売のチラシとにらめっこし、値上がりした肉の値段に「うそだろ」と絶句する。
あっという間に減っていく手元の現金を数えては、顔をこわばらせていた。
「なあ、今日はもやし炒めでいいか?」と聞いてくる声も、日に日に小さくなっていく。
三度の献立を毎日ひねり出すことが、どれほど骨の折れることか、身にしみたようだった。
見かねて「レシピ、教えようか?」と声をかけると、夫は意地になって「いや、大丈夫」と首を振る。けれど翌日には、こっそり私のレシピノートを開いていた。
「外食にすればいい」ともくろんだ日もあったようだが、一度使った金額を見て青ざめ、すぐに諦めていた。
そして半月後。財布の中身がほとんど尽きた夫は、しおれた声で切り出した。
「悪かった」
肩を落とし、目も合わせられないまま、夫は続けた。「少ないなんて言ってごめん。こんなに大変だと思わなかった」。そう言って、深々と頭を下げたのだ。
それ以来、夫が夕食の品数に文句をつけることは一度もなくなった。
それどころか、特売日には「これ安いぞ」とチラシ片手に、自分から買い物についてくるようになった。
はしゃぐ夫の背中を見て、私は小さく笑った。台所の苦労は、立ってみないと分からない。半月分の現金が、それを何より雄弁に教えてくれたのだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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