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「家がなくなったから祖母を預かってほしい」普段は冠婚葬祭にも来ない親戚からのお願い。預かって感じた違和感
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十年ぶりの電話
私の家の電話が鳴った。
表示されていたのは、もう何年も連絡を取っていない遠い親族の名前だった。
「家がなくなったから祖母を預かってほしい」
挨拶もそこそこに、用件だけが告げられた。
聞けば住んでいた家が火事で燃えてしまい、しばらく身を寄せる先がないのだという。
祖母を心配する気持ちはもちろんあった。
緊急時だ、断る理由なんてない。私はその場で受け入れる返事をした。
けれど電話を切ったあと、胸の奥に小さな引っかかりが残った。その親族とは家も離れていて、普段は連絡の一本もない。
法事でも年始でも、顔を合わせることはほとんどなかった相手だ。
(困った時だけ、こうして頼ってくるんだ)
そう思ってしまった自分が、少し嫌だった。それでも祖母を玄関で迎え、布団を整え、しばらくの暮らしの支度を黙々と進めた。
困っている人を放っておけない性分なのは、自分でも分かっていた。
祖母自身は穏やかな人で、預かること自体に不満があったわけではない。
気持ちが晴れないのは、その後ろにいる頼んできた相手の振る舞いのほうだった。
礼も詫びも、なかった
数日が過ぎても、頼んできた親族からは礼の一言もなかった。
祖母の薬代も食費も、滞在にかかる細々したお金も、当然のように私の側が負担していた。
もともと、冠婚葬祭でもこちらに何かを包んでくれたためしのない家だった。私の親族の間でも、その振る舞いはたびたび話題に上っていた。
「困った時だけ、よく頼れるよね」
私の母も、電話口でそうこぼした。緊急時なのだから助け合うのは当たり前。
頭ではそう分かっているのに、割り切れない気持ちがずっとくすぶり続けた。
ある日、滞在の段取りについて確認の電話を入れたときも、返ってきたのはお願いばかりだった。
「ついでにこれも、お願いできる?」
こちらの都合を尋ねる言葉も、申し訳なさそうな響きも、そこにはなかった。
受話器を置いたあと、私はしばらく天井を見上げていた。
結局、祖母が落ち着き先を見つけて出ていくまで、あちらから歩み寄ってくる気配はとうとうなかった。
最後まで、お礼の品も、ねぎらいの一言もなかった。
一連の出来事のあと、私はその親族と、自然に距離を取るようになった。誰かと決定的に揉めたわけではない。
ただ、連絡の頻度がさらに減っていっただけだ。
頼りたいのなら、普段から少しずつでも顔を合わせて、関係を育てておくべきだったのだと思う。緊急の時だけ差し出される手は、どうしても素直には握れなかった。
割り切れないまま、薄れていく縁を、私は黙って見送るしかなかった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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