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【ペットからの合図】愛犬を亡くし1ヶ月→母と二人で聞いた一度きりの物置に当たる尻尾の音に込み上げた感情

【ペットからの合図】愛犬を亡くし1ヶ月→母と二人で聞いた一度きりの物置に当たる尻尾の音に込み上げた感情

物置に尻尾が当たる音は、家族みんなの共通認識

3歳の頃から実家で飼っていた愛犬の話だ。

家の外、庭の片隅につながれた小屋で暮らしていて、定位置のすぐ横には金属製の物置き倉庫が置かれていた。

誰かが帰宅した瞬間、その子はちぎれそうな勢いで尻尾を振る。

振り幅が大きすぎて、必ず物置の側面に尻尾が当たるのだ。

その「カンッ、カンッ」という乾いた音が、家族の中ですっかり「あの子の嬉しい合図」として共通認識になっていた。

父が車を停めれば物置から音、母が買い物袋を提げて帰れば物置から音。

最高潮に喜ぶときにはブンブンと連打のように響いて、家族みんなを笑わせてくれた。

家のどこにいても「ああ、誰か帰ってきたんだな」と分かる、暮らしの一部だった。

20歳のあの春、家族みんなが上の空だった日々

私が20歳になった年の春、その子は静かに亡くなった。

十数年いっしょに過ごした家族の一員がいなくなり、玄関を開けても庭から物置の音が聞こえてこない日々が始まった。

誰も声を荒げて泣いたりはしなかったが、しばらくはみんな心にぽっかり穴があいたような顔で過ごしていた。

母がふと窓の外を見て手を止めたり、私もテレビをつけたまま画面を見ていなかったり、家のあちこちで時間が止まったような瞬間があった。

庭は妙に静かで、あの子がいた頃には気づかなかった日常の音が、今度ははっきり耳に届いて寂しさを濃くしていた。

あの子がいなくなってから1ヶ月ほど経った夕方のことだ。

私はリビングで母と並んで他愛のないテレビ番組を眺めていた。母も特に何を言うでもなく、湯のみを両手で包んでぼんやり画面を見ていた。

母と顔を見合わせた瞬間、二人で同じ音を聞いた

そのときだった。庭のほうから、聞き慣れた乾いた音が一度だけ響いた。

「物置に当たる音がした」

私と母は同時に窓の方を振り返り、反射的に顔を見合わせた。母の目もまっすぐ私を見ている。あの子が嬉しがっているときの、あの音にしか聞こえなかった。

母とは「ああきっと、元気のない私たちを心配してまだそこにいてくれているんだね」と話し、「天国で先に待っていてね」と窓の方に声に出して伝えた。

込み上げてきたのは悲しみだけではなく、置き去りにされた寂しさが少しほどけていく感覚だった。

空耳と片付ければそれまでだ。風で何かが当たった可能性も、近所の物音と取り違えた可能性も否定はできない。

実際、あの音を耳にしたのはその一度きりで、それ以降は二度と聞こえてこなかった。だからあれが本当にあの子だったのか、いまもはっきりとは分からない。

それでも家族の前にもう一度だけ顔を出してくれたのだと、私たちはそう信じている。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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