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【日常ミステリー】夫婦で家中探した家の鍵。半年後、冠婚葬祭袋からキーホルダーごと出てきた

玄関で確かにバッグに入れた鍵が消えた夕方
あれは桜が散り始めた4月の夕方、外出先から戻った私はいつも通り玄関で肩からバッグを下ろし、鍵を中に放り込んだのです。
確かに金属が布の底に沈む手応えがありました。
30分ほど経ってスーパーへ行こうと玄関に立った時、バッグをいくら探っても指先に鍵が触れません。
財布や手帳の硬さばかりが当たって、あるはずの冷たい感触だけが見つからないのです。
「ありえない」
思わず声に出した私を聞いて、夫もリビングから出てきました。
二人でソファのクッションを全部下ろし、座面の裏まで懐中電灯を当て、テーブルの裏や玄関のたたきまで照らしていきます。
夫は冗談半分で冷蔵庫まで開けて、野菜室の奥のペットボトルまで退けてくれましたが、それでも見つかりません。
洗面所の引き出し、ゴミ箱の底、洗濯機の中まで一つずつ潰していきました。
玄関のたたきに座り込んでバッグの中身を床に並べ直しても、見慣れた小物が出てくるだけで、鍵の銀色だけがすっぽり抜け落ちています。
夫と顔を見合わせて苦笑いするしかありませんでした。
「明日また落ち着いて探そう」と夫が言ってくれて、その日は予備の鍵で施錠したのを覚えています。布団に入っても玄関の場面ばかりが頭の中で繰り返されました。
半年後、冬支度のクローゼットで指先に触れた金属
季節は移り、もう11月の終わりでした。
あれから半年、何度バッグや靴箱を覗いても鍵はとうとう姿を見せないままだったのです。
その日の朝、私は厚手のコートを出そうとクローゼットの戸を開けました。
棚の隅に押し込んでいた小さな紙袋が目に入り、何気なく手を伸ばしたのが始まりだったのです。
その紙袋は冠婚葬祭用の数珠や袱紗だけを仕舞っている専用の袋で、その年は法事もお祝い事も一切なく、一度も触っていないはずでした。
口を開けて中に手を入れた瞬間、布の包みに紛れて、冷たくて重たい金属の感触が指先に当たったのです。
そっと引き出してみると、半年前に消えたあの家の鍵でした。
しかも失くした日にぶら下げていた小さなキーホルダーまで、当時のまま揺れていたのです。
私はしばらく言葉が出ず、その場で立ち尽くしてしまいました。
夫も娘も、誰一人として紙袋を開けた覚えはないと首を振ります。
私自身も、探し回ったあの夜から半年の間、紙袋に手を伸ばした記憶がどこにも出てきません。
そもそもこの半年、袋を開けるような予定は家族の暮らしの中に一つもなかったのです。あの鍵はどうやってあの場所に辿り着いたのか、いまも答えは出ないままなのでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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