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「中に入れてください」インターホンを鳴らした見知らぬ女性→信じられない要求に恐怖を覚えた

引っ越したばかりの部屋で鳴った昼のチャイム
家賃を抑えるために少し古いマンションに越して、まだ片付けも終わらない平日の昼だった。
在宅で仕事をしていた手を止め、突然鳴ったインターホンに身構えた。
モニターには、化粧気のない四十代くらいの女性が映っている。
宅配や勧誘の雰囲気ではない、私服のままの近隣住民にも見える普通の姿だった。
受話器を取ると、相手はやけに落ち着いた声を出した。
「中に入れてください」
挨拶も自己紹介もなかった。何の用かを尋ねると、相手は同じ声色のままで言い直した。
話したいことがあるから一度だけ部屋に入れてほしい、それだけだと。
当然断った。
玄関を開ける選択肢はなかった。すると相手は声色を一切変えないまま、要件を別の言葉に置き換えてきた。
「千円か二千円、貸してください」
金銭の無心だと分かった瞬間、はっきり断ってインターホンを切った。
それで終わるはずだった。窓から廊下側を覗くと、女性はそのまま廊下を歩いて去っていく後ろ姿が見えた。
普通の歩き方で、迷いがない。
手の動きにも、振り返って様子を確かめる素振りにも、追い払われた人間の落ち込みがまったく感じられなかった。
仕事に戻ろうとしたが、画面の文字がしばらく頭に入らなかった。
同じ階の他の部屋にも回っているのだろうか。それとも、この部屋だけが標的だったのだろうか。
3時間後、同じ顔で繰り返された語り口
夕方前、もう一度インターホンが鳴った。
モニターに映ったのは、同じ女性だった。
同じ服、同じ髪型、同じ表情。
受話器を取った私の前で、相手はまったく同じ抑揚で口を開いた。
「お話したいことがあるので、中に入れてください」
つい数時間前と寸分違わない言い方だった。覚えていないのか、覚えていて試しているのか。問い返す前に、相手は続けた。
千円か二千円貸してください、と。先ほど断った私の顔を覚えていないようにも、覚えたうえで同じ部屋を再び選んだようにも見えた。
どちらだとしても異常だった。受話器越しに沈黙が広がる間、相手の表情は一ミリも動かなかった。
その日のうちに管理会社に連絡し、同じ階の他住戸でも同様の訪問があったか確認した。何件かで似た報告が出ているとだけ伝えられた。玄関の覗き穴と二重ロックを確かめ、しばらく在宅中もチェーンを外さないと決めた。
あの女が記憶を失っていたのか、こちらが揺らぐと思って繰り返したのか、結局分からない。ただ、同じ顔が同じ語り口で二度立っていたあの夕方の廊下だけは、いまも消えない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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