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「俺は3万円、包んできたけどな」新婦側にも聞こえる声でご祝儀を語る叔父。だが、母がかけた一言で空気が一変

「俺は3万円、包んできたけどな」新婦側にも聞こえる声でご祝儀を語る叔父。だが、母がかけた一言で空気が一変
新郎新婦の入場を待つ席で、叔父が話し始めた
去年、従兄弟の結婚式に出席したときのことです。
披露宴会場に入り、親族席へ案内されると、久しぶりに会う親戚同士で挨拶を交わしました。まだ新郎新婦が入場する前で、会場には少し緊張したような、それでいて華やかな空気が流れていました。
そんな中、同じ卓に座っていた叔父が、突然こんなことを言い出しました。
「みんな、ご祝儀はちゃんと包んできたのか?」
叔父は60代で、その日は一人で出席していました。昔から思ったことをすぐ口にするタイプで、本人には深い意味はなかったのだと思います。
しかし、ご祝儀の話をするには声が少し大きすぎました。
「そっちはいくらにしたんだ?」
隣に座る親戚にまで尋ねます。
聞かれた側は困ったように笑い、「まあ、そのへんはいいじゃないですか」と濁しました。それでも叔父は、周囲の空気には気づいていない様子でした。
同じ卓にいた私は、だんだん落ち着かなくなってきました。
すぐ近くには新婦側の親族席もあります。これから両家で新郎新婦を祝うというときに、こちらの親族がご祝儀の金額を話しているのは、どうにも居心地が悪く感じました。
とはいえ、私から叔父を注意するのもためらわれます。お祝いの席で身内同士が言い合いになるのも避けたかったからです。
母は声を荒らげず、ひと言だけ伝えた
やがて会場の照明が少し落ち、新郎新婦の入場が近いことを知らせるアナウンスが流れました。
みんなが入口の扉へ視線を向け始めた、そのときです。
叔父がもう一度、大きめの声で言いました。
「俺は3万円、包んできたけどな」
具体的な金額まで聞こえてきて、私は思わず叔父のほうを見ました。
向こう側の席にいた新婦側の親族の一人も、こちらをちらりと見ています。
誰がいくら包んだのかは、それぞれが考えて決めることです。わざわざ披露宴会場で比べるような話ではありません。
そのとき、隣に座っていた母が叔父のほうへ少し身を寄せました。
そして、周囲には聞こえないくらいの声で言いました。
「そういう話は、ここですることじゃないよ」
たったそれだけでした。
叔父は一瞬きょとんとした顔をして、「いや、別に悪い意味じゃ……」と言いかけました。
母は責めることも、言い返すこともしませんでした。ただ前を向き、新郎新婦が入ってくる扉を見ています。
叔父もそれ以上は続けませんでした。
ほどなくして音楽が流れ、扉が開きました。新郎新婦が姿を見せると、会場いっぱいに拍手が広がります。
叔父も周りと一緒に手をたたき、それからご祝儀の話をすることはありませんでした。
注意するなら、大きな声で相手をやり込める必要はないのかもしれません。
その場を壊さず、伝えるべき相手にだけ伝える。母の短いひと言を聞きながら、私はそんなことを思いました。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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