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「5000円は特別、他にはやらんばい」ひいおばあちゃんから貰ったお年玉。だが、従兄弟の袋を見た結果

ひいおばあちゃんの内緒話
今は社会人になった僕だが、正月が近づくと決まって思い出す出来事がある。
小学生の頃、父方の親戚が祖母の家に集まるのが、毎年の恒例だった。
その年は、予定より一日早く着いてしまった。
祖母の家の隣には、ひいおばあちゃんの小さな平屋がある。母にうながされ、僕は一人で挨拶に向かった。
「おや、よう来たねえ」
玄関を開けると、ひいおばあちゃんは僕の顔を見るなり相好を崩した。
座布団に座らされ、みかんを剥いてもらっているうちに、ふところから小さなポチ袋が出てきた。
「これ、お年玉よ」
中をのぞくと、5000円札が一枚。
小学生の僕にとっては、見たこともない大金だった。
「わあ、ありがとう」
「5000円は特別、他にはやらんばい」
片目をつぶって、ひいおばあちゃんはそう囁いた。
僕だけ特別で、可愛いから他の子には内緒。
その響きが、くすぐったくてたまらなかった。
従兄弟と答え合わせ
そして、親戚が勢ぞろいする本番の日がやってきた。伯父や伯母、大勢の大人から次々にお年玉をもらい、ポケットはポチ袋でふくらんでいく。
夢中になったのは、一つ下の従兄弟と別の部屋にこもって、どっちが多いか答え合わせをしたときだ。
「せーの、で開けよう」
掛け声とともに袋を破った従兄弟の手に、見覚えのある柄があった。ひいおばあちゃんの、あのポチ袋だ。いやな予感がした。
「僕のは1万円だったよ」
「うそ、僕は5000円だよ」
耳を疑った。僕だけ特別と言われたはずの金額が、従兄弟のちょうど半分しかない。
同じ「特別」を、この子も囁かれていたに違いなかった。
その日はもう、悔しくてふてくされていた記憶しか残っていない。
今になって思うこと
あれから十数年が過ぎた。
今になって思い返すと、あの光景がやけに微笑ましい。
きっとひいおばあちゃんは、孫にもひ孫にも、一人ひとりの耳元で同じ台詞を渡していたのだろう。
「あんただけ特別ばい」
そう言われて頬をゆるめる子どもの顔を、いくつも眺めるのが好きだったに違いない。
袋に入れた金額の多い少ないなんて、本人はきっと数えてもいなかった。
次の正月は、あのポチ袋の話を肴に、従兄弟と一杯やろうと思う。誰も損をしていない、我が家でいちばん温かい笑い話だ。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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