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「ちゃんと走れるか?」運動会でスタートラインまで付き添ってしまった父親。だが、固まってしまった子供を救った先生の一言とは

スタートラインに立つ父親
子どもの通う園で、初めての運動会が開かれました。
私は年少クラスの保護者席で、かけっこが始まるのを待っていました。
先生が子どもたちを4人ずつ呼び、スタートラインの前に並ばせていきます。
年少さんたちは、帽子のゴムを触ったり、後ろにいる家族を探したりして、どこか落ち着かない様子でした。
そのとき、保護者席から一人の男性が出てきました。
手を引いているのは、うちの子と同じクラスの男の子です。
男性は息子をスタートラインまで連れていくと、その場にしゃがみ込みました。
「前だけを見るんだぞ。あそこの旗まで、止まらずに走るんだ」
そう言いながら、男の子の足の位置を直し、腕の振り方まで教え始めます。
トラックの内側に入っている保護者は、その男性だけでした。
周囲の保護者たちも、戸惑ったようにその様子を見ています。
繰り返された先生のお願い
先生が男性のそばへ行き、穏やかな声で話しかけました。
「お父さん、保護者席から応援をお願いします」
男性は「はい」と答えました。
ところが、立ち上がろうとはしません。
今度は男の子の肩をつかみ、スタートの姿勢を取らせようとしています。
先生はもう一度、同じようにお願いしました。
「ここからは、私たちに任せてください」
それでも男性は、息子に話しかけ続けていました。
「ちゃんと走れるか?」
「途中で止まるなよ」
男の子は返事をせず、うつむいたままです。
先生は男の子の表情を確認すると、男性に向かって声をかけました。
「お父さんがそばにいると、緊張してしまうこともあります。線の外から応援してあげてください」
声を荒らげたわけではありません。
ただ、笑顔のまま、白い線の外を手のひらで示しました。
男性はようやく男の子から手を離し、少し気まずそうに頭を下げました。
そして、保護者席へ戻っていきました。
息子に頑張ってほしかったのでしょう。
悪気があるようには見えませんでした。
ただ、その思いが少しだけ前に出すぎていたのかもしれません。
一人だけ動けなかった男の子
やがて、スタートの笛が鳴りました。
3人の子どもが勢いよく走り出します。
しかし、その男の子だけは、うつむいたまま動きませんでした。
運動会で緊張していたうえ、直前まで父親から何度も声をかけられ、戸惑ってしまったように見えました。
男の子は白い線の外にいる父親を振り返り、その場に立ち尽くしています。
会場の拍手が、少しずつ小さくなっていきました。
白い線の外に戻った男性も、思わず一歩前へ出ようとします。
けれど先生は、男の子の背中を押すことも、無理に手を引くこともしませんでした。
男の子の前まで行くと、目線を合わせるようにしゃがみます。
そして、短く声をかけました。
「大丈夫。行っておいで」
しばらくして、男の子が小さく一歩を踏み出しました。
その一歩をきっかけに、ゆっくりと走り始めます。
すると、会場のあちこちから拍手が起こりました。
先にゴールした3人も、向こう側から手を振っています。
男の子は最後まで走り切り、ゴールの先で振り返りました。
白い線の外では、父親が誰よりも大きな拍手を送っていました。
今度は走り方を教えるのではなく、ただ息子が自分の力で走る姿を見守っています。
男の子も父親を見つけると、少しだけ誇らしそうに笑いました。
子どものために何かをしてあげることと、子どもを信じて待つこと。
先生の対応を見ながら、その違いを考えさせられた出来事でした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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