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「卵を一番下に置くな、割れるだろ」レジでキレる客。だが、チーフの対応で状況が一変

夕方のレジに響いた怒鳴り声
平日の夕方は、レジがいちばん混みます。仕事帰りの人と、夕飯の買い物客が重なる時間帯です。
5年ほど前、私はその時間のレジ打ちを担当していました。
50代くらいの男性が、カゴをどんと台に置きました。中身は多く、飲み物のボトルが何本も入っています。
いちばん上には、卵のパックがのっていました。
いつも通り、上のものから順に取り出してスキャンしていきました。通した商品は、隣の空きカゴに移していきます。
三つ目を読み取ったところで、突然、声が飛んできました。
「卵を一番下に置くな、割れるだろ」
手が止まりました。まだカゴから出しただけで、袋詰め用の台には何も移していません。
「申し訳ございません」
反射的に頭を下げました。声が震えていたと思います。
「常識がないのか。割れたら誰が弁償するんだ」
「順番を確認してから、お通しします」
「頭が悪いやつはレジに立つな」
その一言で、周りの音が消えました。後ろには10人ほどの行列ができています。誰も、何も言いません。
スキャンの電子音だけが、やけに大きく響いていました。
チーフが戻ってきて言ったこと
売場の奥から早足で出てきたのは、その日の責任者だったチーフでした。
「お客様、こちらのレジが空いております。お会計はあちらでどうぞ」
「は?途中だぞ」
「カゴごとお運びします。すぐお通しできますので」
やり取りは30秒ほどでした。男性は舌打ちをして、隣の列へ移っていきます。
私は残ったカゴを見つめたまま、指を動かせずにいました。
ところがチーフは、そのまま奥へ戻りませんでした。私の横まで来て、少しだけ声を張ったのです。
「今の手順、間違ってないよ。卵はまだ台に移す前だったからね」
責める調子は、どこにもありませんでした。ただ、事実だけを置いていくような言い方でした。
列の先頭にいた年配の女性が、すぐに口を開きました。
「見てましたよ。あなた、何も悪いことしてない」
「そうよ、卵は上に置いてあったもの」
後ろの人たちが、小さくうなずいています。
若い男性は二度うなずいてから、自分のカゴを台に置き直してくれました。
「お待たせして、すみません」
「いいのよ、ゆっくりで」
隣のレジのほうから、視線を感じました。
あの男性が、こちらを見ています。目が合いましたが、何も言いませんでした。
札を出して、釣り銭を財布にしまう手が、途中で一度止まります。そのまま袋も広げずに、出口へ歩いていきました。
振り返ることはありませんでした。
次の商品をつかんだとき、手はもう震えていませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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