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「だから、なんなんだよ!」順番を抜かした男に注意した老人。だが、男が逆ギレした結果

白い線に沿った列
平日の朝、通勤に使うホームはいつも人であふれています。
乗車口の足元には、1列に並ぶための白い線が引かれていました。
私はその列の、七、八番目あたりに立っていました。前も後ろも、鞄を抱えた人が黙って自分の番を待っています。
電車がホームに滑り込んできました。列がわずかに前へ動いた、そのときでした。
横から男性がひとり、大股でドアの正面へ入り込んできたのです。
すぐ後ろに並んでいた高齢の男性が、静かに声をかけます。
「みなさん、ずっとここで待っていますよ」
とがめる調子ではありませんでした。落ち着いた、諭すような言い方です。
ところが返ってきたのは、ホームに響く大きな声でした。
「だから、なんなんだよ!」
列の何人かが顔を上げました。けれど、誰も動きません。
恐れ入ります、と駅員
男性が片足をドアにかけようとした、その瞬間でした。
「恐れ入ります、列の最後尾からお願いいたします」
ホームを歩いていた駅員が、いつのまにかすぐ横に立っていました。
声を張るでもなく、責めるでもありません。日に何度も口にしているのだろうと思わせる、慣れた調子でした。
「先頭のお客様から、順にご乗車ください」
駅員はそう言って、白い線の先頭に手のひらを向けます。列がひとつずつ、静かに動きはじめました。
男性が口を開きかけます。
「いや、俺は」
そこで言葉が止まりました。列に並ぶ全員が、誰も彼を見ていなかったからです。
みんな黙って前を向き、自分の番を待っていました。
「次の電車は三分後に参ります」
駅員の声は、さっきとまったく同じ調子でした。
男性は視線を落とし、それ以上は何も言わずに列の後ろへ回っていきます。
閉まったドアの外で
列は白い線の上を、順番どおりに進んでいきました。
「どうぞ、お先に」
高齢の男性の前に並んでいた人が、そう言って半歩下がります。
「いえ、順番ですから」
高齢の男性は帽子のつばに手をやって、自分の番で乗り込んでいきました。
私が乗ったとき、車内はもう身動きが取れないほどでした。発車のベルが鳴り、ドアが閉まります。
ガラス越しに見えたのは、ホームに立ったままの男性でした。列の最後尾で、次の電車を待つことになったのです。
駅員はもう隣の乗車口へ移り、いつもと変わらない声で案内を続けていました。
車内では、近くに立っていた数人が、あの高齢の男性に向かって小さく会釈をしていました。
声に出して礼を言う人はいません。それでも、何に対する会釈なのかは全員が分かっていました。
電車は定刻どおりに、次の駅へ向かって走り出しました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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