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「駅に行くなら、こっちの道が近いよ」道の真ん中で手のひらを向けて私を止めた男。突然の行動に恐怖した瞬間

「駅に行くなら、こっちの道が近いよ」道の真ん中で手のひらを向けて私を止めた男。突然の行動に恐怖した瞬間
手のひらを向けて、その人は道の真ん中で私を止めた
暑い日の午後だった。
少し急いでいた私は、汗をぬぐいながら見慣れた道を歩いていた。
買い物を済ませ、あとは家に帰るだけ。
そんな、なんてことのない帰り道だったはずだ。
向かいから来た年配の男性が、すれ違う直前でぴたりと足を止める。
そして私のほうへ、ゆっくりと手のひらを向けた。
通せんぼをするように、道の真ん中で。何が起きたのか、一瞬わからなかった。
「今、なんで止められたんだろうって思ったよね。なんで泣きそうな顔してるのかなと思ってね。どうしたの」
穏やかな声だった。
けれど男性は、私の返事を待たずに言葉を重ねていく。
泣いてなどいない。暑さで顔がこわばっていただけだ。私は小さく首を横に振ったが、その否定はどこにも届いていないようだった。
男性の視線は、私の目のずっと奥を見ているようで落ち着かない。
こちらが口を開くたび、その言葉はやわらかい声にかき消されていった。
会話が、まるで噛み合っていかない。
私の言葉は素通りし、男性は自分のなかにある筋書きに沿って話し続ける。
私が黙っていると、また別のことを話し始めた。
逃げ出したいのに、足がその場に貼りついたように動かない。
ただ視線を落とすことしかできず、時間だけが妙に長く感じられた。
「近所に住んでいる」という一言が、後からじわりと重くなった
「駅に行くなら、こっちの道が近いよ」
行き先を告げてもいないのに、男性は私が駅へ向かうものと決めていた。
そして続けた。「自分、ここの近くに住んでてね」と。世間話のような、ごく軽い調子だった。
私は曖昧に会釈をして、できるだけ自然を装いながら、その場を離れた。
歩き出してから、その言葉がじわりと重くなっていく。近くに住んでいる。
つまりこの人は、いつもこの道のどこかにいる。
私が毎日通る、この見慣れた道に。
さっきまで安心して歩いていた場所が、急に知らない場所のように思えた。
振り返る勇気はなかった。まだあの手のひらが、私のほうを向いている気がした。
角を曲がるまで、背後で足音が近づいてこないかだけをずっと気にしていた。早く帰りたいのに、うまく足が前に出ない。
家に着いて鍵をかけた後も、落ち着かなかった。またすれ違うかもしれない。
次はどこで、どんな話を始めるのだろう。あの穏やかな声を思い出すたび、背中がひやりとする。今もあの道を歩くとき、私は向かいから来る人の手元を、つい見てしまう。あれから、あの午後の光景が頭を離れたことは一度もない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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