MENU

Share

HOME LIFESTYLE STORY COLUMN

「うるさいから、出ていってよ」引越し先で受けた苦情。だが、管理会社が音を測定した結果

「うるさいから、出ていってよ」引越し先で受けた苦情。だが、管理会社が音を測定した結果

引っ越し早々、顔も知らない相手からの苦情が始まった

周りをぐるりと戸建てに囲まれた、築浅の賃貸マンション。

その一室に越してきた僕は、静かで日当たりのいい部屋をすっかり気に入っていた。

ところが暮らし始めて間もなく、管理会社から一本の電話が入る。「近隣の方から、お宅の生活音についてご相談がありまして」。

心当たりはまるでなく、僕はただ戸惑うばかりだった。

季節を問わず、換気のために窓を開ける。ただそれだけで「声がうるさい」「テレビの音が響く」と苦情が入る。

しかも直接ではなく、必ず管理会社を経由してくる。

顔を合わせたこともない相手からの、名指しの抗議だった。一度や二度ではない。月に何度も繰り返され、そのたびに僕は身に覚えのない非を詫びさせられた。

次第に、窓を開ける前に一瞬ためらう自分がいた。声のボリュームを落とし、テレビの音量を絞り、それでも足りないのかと息をひそめる。

自分が借りている自分の家にいるはずなのに、まるで借りてきた猫のように縮こまって暮らしていた。

ある日、ベランダで洗濯物を干していると、隣の家の窓から刺すような視線を感じた。

目が合った瞬間、吐き捨てるように言われた。

「建物邪魔なのよ!うるさいから、出ていってよ」

後から建ったこの賃貸そのものが気に入らないのだと、そのとき悟った。

僕がどう暮らそうと、この土地に「後から来た」というだけで敵視されている。

理不尽さに、頭の芯が冷たくなっていった。

管理会社が持ち込んだ数値が、すべてを黙らせた

苦情は途切れることなく続いた。僕は開き直りたい気持ちを必死に抑え、代わりに管理会社へ「一度きちんと音を測ってほしい」と正式に依頼した。

感情でぶつかっても、しょせん水掛け論にしかならない。だったら、誰の目にも明らかな数字で決着をつけたかった。

後日、担当者が測定器を持って部屋を訪れた。

窓を全開にし、普段どおりテレビをつけ、家族との会話もしてみる。結果、室外に漏れる音は生活音の基準値をはるかに下回っていた。

「これは、苦情を申し立てる側に無理があります」。担当者はそう言い切り、その測定記録を近隣にも正式な書面で説明してくれた。

それ以来、あれほどしつこかった苦情はぱたりと止んだ。強気だった住民は、道ですれ違っても気まずそうに目を逸らすようになった。

感情ではなく、淡々と測定された数値こそが僕の正しさを証明してくれたのだ。窓を開けるたびに胸を締めつけていたあの重さは、もうどこにも残っていなかった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

ほかの小説も読む

CHARACTERS

登場人物から探す

THEME

テーマ・シチュエーションから探す

ENDING

結末から探す

最も人気の短編小説

もっと見る >

スカッとする短編小説

もっと見る >

モヤモヤ短編小説

もっと見る >

ゾッとする短編小説

もっと見る >

LINEの短編小説

もっと見る >

実体験をもとにした短編小説

もっと見る >

恋愛トラブル

もっと見る >

ハラスメント

もっと見る >

金銭トラブル

もっと見る >

浮気・不倫

もっと見る >

仕事のトラブル

もっと見る >
ふと心に引っかかった「モヤモヤ」
思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」

その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

応募フォームはこちら

PROFILE

GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

website
前の記事

「犬の鳴き声がうるさい、しつけが悪い」ポストに入ってた匿名の紙。だが、調べると思わぬ事実が発覚

GLAM Lifestyle Editorialのすべての記事を見る

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

特集記事

Ranking