MENU

Share

HOME LIFESTYLE STORY COLUMN

「熱でも飯は作れるだろ!」と優しくない夫。だが、妻の毒舌で態度が一変

「熱でも飯は作れるだろ!」と優しくない夫。だが、妻の毒舌で態度が一変

熱で寝込む私への第一声

結婚して十数年、夫はずっと「家事は妻の役割」だと言い張ってきた。

その日は朝から熱が三十八度を超え、私はベッドで横になるのがやっとだった。

ふすま越しに足音が近づいて、夫が顔だけのぞかせる。

「お腹空いた、飯は?」

心配の言葉が先にあると思っていた私は、力の入らない体で天井を見上げた。

「ごめん、今日は動けなくて」

そう返すと、夫はあからさまに眉をひそめた。

「熱でも飯は作れるだろ!」

その一言で、私の中の何かがすっと冷めていくのがわかった。

これまでは、熱があっても這うようにキッチンに立ち、湯気の向こうで涙をこらえてきた。

けれど今日ばかりは、もう体が言うことをきかなかった。

夫のこだわりを逆手に取る

思い返せば、夫には奇妙なこだわりがあった。私が少しでも咳をすると、決まってこう言うのだ。

「咳するな、俺にうつすなよ」

そして咳が出ている日は「感染力がある」と勝手に判断して、私を寝室に隔離してくる。皮肉なことに、その間だけは家事を一切求めてこない。

つまり夫にとって、熱だけの私は都合よく働ける妻で、咳の出る私は近寄らせたくない病人なのだ。

ならば、と私は決めた。

次にキッチンへ引きずり出されそうになった瞬間、わざとらしく喉に手を当てる。

「ゴホッ、うつすよ?」

咳ひとつで形勢逆転

夫の動きがぴたりと止まった。

「……お前、咳出てるのか」

顔がわずかに引きつり、一歩あとずさる。私は喉を押さえたまま、弱々しく続けた。

「さっきから喉がイガイガして。うつしたら悪いから、私は寝てるね」

夫は口を開きかけて、言葉を飲み込んだ。うつすなと命じてきたのは、ほかでもない夫自身だ。撤回できるはずもない。

「わ、わかった。今日はゆっくり休め」

目を泳がせながら、夫はそそくさと寝室のドアを閉めた。ここまであっさり引き下がるのかと、私は布団の中で思わずにやりとした。

それから数日、私は咳の芝居を続けて家事を堂々とボイコットした。夫は慣れない手つきで弁当を並べ、洗濯機の前で説明書とにらめっこしている。

「なあ、これどうやるんだ」と小声で聞いてくる夫に、私は布団の中から短く答えるだけ。

熱が下がるころ、夫はもう「飯は?」とは言わなくなっていた。かわりに「体、大丈夫か」と。私なりの、ささやかで確かな抵抗だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

ほかの小説も読む

CHARACTERS

登場人物から探す

THEME

テーマ・シチュエーションから探す

ENDING

結末から探す

最も人気の短編小説

もっと見る >

スカッとする短編小説

もっと見る >

モヤモヤ短編小説

もっと見る >

ゾッとする短編小説

もっと見る >

LINEの短編小説

もっと見る >

実体験をもとにした短編小説

もっと見る >

恋愛トラブル

もっと見る >

ハラスメント

もっと見る >

金銭トラブル

もっと見る >

浮気・不倫

もっと見る >

仕事のトラブル

もっと見る >
ふと心に引っかかった「モヤモヤ」
思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」

その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

応募フォームはこちら

PROFILE

GLAM Lifestyle Editorial

編集部

日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

website
前の記事

「空いてる駐車場くらいいいだろ」と無断駐車する男。だが、男に待っていた自業自得の結末とは

GLAM Lifestyle Editorialのすべての記事を見る

Gallery

SHARE !

この記事をシェアする

Follow us !

GLAM公式SNSをフォローする

Feature

特集記事

Ranking