Share
「ウインナーばっかりで可哀想」遠足の弁当を笑ったママ友。だが、別のママ友の一言で状況が一変

「ウインナーばっかりで可哀想」遠足の弁当を笑ったママ友。だが、別のママ友の一言で状況が一変
遠足のお弁当を広げた瞬間
幼稚園の親子遠足の日だった。芝生にレジャーシートを広げ、何人かのママと輪になってお弁当を開いた。
うちの子の弁当には、たこさんウインナーと唐揚げをぎゅっと詰めてある。前の晩、子どもが「あれ入れて」とリクエストしたものばかりだ。
蓋を開けたとたん、隣に座っていたママの視線が私の弁当箱に止まった。
「ウインナーばっかりで可哀想」
笑いを含んだ声だった。一瞬、聞き間違いかと思って固まった。
「だってお肉ばっかりじゃない。野菜は?うちなんて彩り考えて詰めてるのに」
その人は自分の弁当を見せつけるように傾けた。確かに色とりどりで見映えはいい。けれど、隣でうちの子はウインナーをほおばって「おいしい」と笑っている。
押しつけられた価値観
「子どもが好きだから入れてるんです」
そう返すのが精一杯だった。すると相手は、わざとらしく眉を下げてみせた。
「好きなものばっかりあげてたら、好き嫌いの多い子になるわよ。今のうちよ」
周りのママたちは曖昧に笑うだけで、誰も口を挟まない。せっかくの遠足なのに、私の手元の弁当だけが「ダメな見本」のように扱われていく。
言い返したい言葉はあったのに、これからも付き合いの続く相手だと思うと、喉の奥でつかえて出てこなかった。
うつむいて箸を動かしていると、輪の少し向こうにいたママが、ふいにこちらへ身を乗り出してきた。
最近引っ越してきたばかりで、まだあまり話したことのない人だった。
別のママの一言で空気が変わった
そのママは、うちの子の弁当箱をのぞき込んで、ぱっと顔をほころばせた。
「うちの子も大好き」
そして、からかってきたママのほうへまっすぐ向き直った。
「子どもが喜んで食べるのが一番じゃないですか」
からかっていたママの顔から、すっと笑みが引いた。何か言おうと口を開きかけて、けれど言葉は続かない。
「うちもウインナー入れないと半分残しちゃうの。だからこの量、すごく分かります」
引っ越してきたママがそう笑うと、黙っていた周りのママたちも次々にうなずきはじめた。さっきまで私の弁当を見下していたママは、自分の弁当箱に視線を落としたまま、ばつが悪そうに口をつぐんでいる。
「……まあ、好みは人それぞれよね」
ようやく絞り出した一言は、さっきまでの勢いをすっかり失っていた。
そのまま彼女は、誰とも目を合わせずに自分の子のほうへ向き直ってしまった。
その日をきっかけに、フォローしてくれたママとはすっかり仲良くなった。反対に、弁当を笑ったママとは自然と距離ができ、顔を合わせても向こうから目を逸らすようになった。芝生で飲み込んだ悔しさは、誰かの何気ない一言で、こんなにあっさりほどけるのだと知った。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


