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「家族なんだから直接でいいだろ」使用済みの箸で鍋をつつく義父。だが、夫の一言に思わず頭を抱えた

義父が自分の箸で鍋をぐるぐる回した瞬間
これは30代の頃、夫の実家に呼ばれて夕飯を囲んだ日のことだった。
テーブルの真ん中に出されたのは、湯気を立てるすき焼きの鍋。
家族で囲むには十分な大きさで、菜箸も小皿の横にきちんと添えられていた。
ところが義父は、菜箸に手を伸ばさなかった。
自分が今まで口につけていた箸を、そのまま鍋に突っ込んだのだ。
「これくらい、家族なんだから直接でいいだろ」
笑いながら言うと、義父は牛肉と白滝を箸先でぐるぐるとかき回し、引き上げた肉を一口で頬張った。
なめた箸をそのまま戻し、また鍋を混ぜる。
私の前にも具材を寄せようと、肉を移してくれる始末だった。
脇の菜箸は最後まで一度も使われなかった。
胃のあたりが急速に重くなった。
けれど、嫁の立場で口にできる言葉はなかった。隣に座る夫も、義父の所作をごく普通の食事風景として眺めていた。
湯のみで軽くゆすいで箸箱に戻す食後の儀式
夕飯が終わると、義父は自分の前にあった湯のみの中に、使い終えた箸の先をひたした。
湯のみの水を二、三度くぐらせると、布巾でさっと拭い、その箸を自分の箸箱へ収めた。
洗剤も、スポンジも、流しの水道さえ通していない。
ほんの五秒の所作で「洗った」ことにしている。
隣にいた姑も、夫も、誰一人それを止めなかった。むしろ自然な日常の動きとして、視線も向けない。
私が思わず流しに目をやると、姑がにこりと笑って言った。
「うちはいつもこうなのよ」
意味が分からず聞き返した私に、姑は何でもないことのように続けた。
子供の頃からこの家ではそうしてきた、流しで箸を洗ったことなんて一度もないと。
帰宅後に胃薬を飲んだ夜の絶句
頭の中で、さっきまでの食卓が逆再生された。
背筋が冷たくなったまま、車の中でも一言もしゃべれなかった。
家に着くなり、私は戸棚から胃薬を取り出して水で流し込んだ。
夫に「あなたも昔から、あの箸で?」と尋ねると、当然のように頷かれた。
それ以来、義実家の食卓に着くのが怖い。誘いの電話が鳴るたび、あの湯のみと箸箱が頭に浮かんで動けなくなる。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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