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「忙しいの見れば分かるでしょ」声をかけた瞬間に冷たくあしらわれた。モヤモヤを抱えた私が気づいたこと

声をかけたのに、何も言えなかった
仕事帰りに立ち寄った雑貨店でのことだ。棚を眺めていると、商品の場所を確認したいことがあった。
レジ近くにいた店員のほうへ足を向け、声をかけた。
「すみません」
相手は振り返ったが、面倒くさそうに眉根を寄せた。
「忙しいの見れば分かるでしょ」
そう言い捨てて、別のスタッフに呼ばれた店員は会釈しながら奥へ消えた。
私は伸ばしかけた手が空中で止まったまま、棚の前で立ち尽くした。
夕方の混雑する時間帯で、店員たちは絶えず動き回っていた。
もう一度だけ、と思って近づいたが、目も合わせてもらえなかった。
3回目に声をかけたとき、ようやく返ってきたのは「で、何ですか」という低い一言だった。
結局、商品の場所だけ短く聞いて店を出た。
帰り道、ポケットに手を突っ込みながら歩いていると、なんとも言えないモヤモヤが胸の中に広がっていた。
店員が忙しかったのは事実だ。それはわかっている。
でも、あの「見れば分かるでしょ」の冷たさが頭にこびりついて離れなかった。
(でも、なんで声が出なかったんだろう)
少し立ち止まって考えた。
思い返すと、似たようなことが何度かあった気がした。
混んでいる飲食店でオーダーをなかなか伝えられなかったこと。
窓口に並んでいて、もう少し説明が欲しいと思いつつ流してしまったこと。
その都度、「まあいいか」と飲み込んできた積み重ね。
何かを要求するのが申し訳ないような感覚が、いつの間にか自分に染みついていたのかもしれない。
遠慮がついた習慣に気づいた夜
悪気はなかった。相手の事情を察しての行動だったとも言える。
ただ、結果として毎回自分の要件を後回しにしてきたわけで、それが積み重なって妙な疲れを生んでいるのかもしれなかった。
帰宅してから少し考えた。相手が忙しいかどうかは確かめるまでわからない。
声をかけて断られたら、そのときに諦めればいい。
どうせ引っかかるなら、聞いてから引っかかるほうがまだ前向きじゃないか。
単純なことだ。
でもその単純なことを、どこかで「迷惑をかけたくない」「空気を読まないといけない」という感覚が塞いでいたのかもしれない。
自分の遠慮は、相手への配慮というより、傷つきたくない自分を守るためのものだったのかもしれなかった。
翌日、昼休みに別の店で似たような場面があった。忙しそうな店員に声をかけようとして一瞬躊躇したが、今度は小さく「少しいいですか」と口にした。
「はい、どうぞ」
店員は笑顔でそう答えてくれた。
それだけのことだったけれど、昨日の帰り道のモヤモヤが少しほぐれた気がした。自分の遠慮が積み重なっていたと気づいた、そんな一日だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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