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「君も受験だったよな。どうだった?」祖母と同居する孫と同じ高校に合格していた僕。だが、僕が黙っていた理由

「君も受験だったよな。どうだった?」祖母と同居する孫と同じ高校に合格していた僕。だが、僕が黙っていた理由
祖母の誕生日、僕の席はいつも端のほうでした
祖母の誕生日を祝うため、親族が座敷に集まった日のことです。
祖母の家では、昔から親族が座る位置がなんとなく決まっていました。祖母と同居している家族や年長の親戚が上座に座り、母と僕はいつも端のほうです。
母はきょうだいの中で末っ子で、結婚して家を出ていました。僕も小さいころから同じ位置に座っていたので、それがこの家の習慣なのだと思っていました。
その日も座敷へ上がると、親戚から言われました。
「いつものところでいいよね」
僕は母の隣、襖に近い席に座りました。誰かに意地悪をされているわけではありません。それでも、祖母と同居している孫たちが楽しそうに話しているのを見ると、少し距離を感じることはありました。
食事が進んだころ、祖母と暮らしている孫の一人が高校に合格したという話になりました。
その子と僕は同い年でした。そして偶然、僕も同じ高校に合格していました。
祖母はその子に「よかったね」と声をかけ、用意していた贈り物を渡しました。親戚からも「おめでとう」「これで安心だね」と声が上がります。
僕は黙ってその様子を見ていました。
わざわざ「僕も受かりました」と割って入るほどのことでもないと思ったからです。
「この子も同じ高校に受かったんだよ」
しばらくして、近くに座っていた親戚が僕に声をかけました。
「そういえば、君も受験だったよな。どうだった?」
「受かりました」
「どこに?」
僕が高校の名前を答えると、その人は少し驚いた顔をしました。
「同じ高校じゃないか。おめでとう」
「ありがとうございます」
それだけで終わると思っていたのですが、その親戚は座卓の向こうにいる人たちにも聞こえる声で言いました。
「この子も同じ高校に受かったんだよ」
すると何人かがこちらを振り向きました。
「え、そうだったの?」
「おめでとう」
祖母も僕を見て、「そうだったの」と言いました。
僕は少し照れながら「うん」と答えました。そのあと席が変わったわけでも、祖母から贈り物をもらったわけでもありません。
それでも、その日初めて、同じ座敷の中で自分のことにも目を向けてもらえたような気がしました。
帰り際、声をかけてくれた親戚が僕に言いました。
「言ってくれればよかったのに」
僕は笑って、「なんとなく言いにくくて」と答えました。
あれから何十年も経ちました。祖母はもういませんが、親族で集まった日のことは今でも覚えています。
誰かが意地悪をしていたわけではなく、いつもの席、いつもの会話の中で、僕のことが見えていなかっただけなのだと思います。
だからこそ、あの日何気なく声をかけてくれた親戚のことを、今でも忘れられません。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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