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「夜、少し音が響いていて」夜11時に聞こえる上の階からの謎の音。我慢出来ずに本音を伝えた結果

「夜、少し音が響いていて」夜11時に聞こえる上の階からの謎の音。我慢出来ずに本音を伝えた結果
夜11時を過ぎると、天井が鳴りはじめた
三年ほど前、私はマンションの一室で暮らしていた。
日当たりのいい部屋で、越してきたころは長く住むつもりでいた。
気づいたのは、住み始めてしばらく経ってからだ。夜11時を過ぎると、頭の上で何かを引きずるような音がする。
ずずっ、と重いものが床をこする音。
それから、かかとを落とすような足音が続く。
「ねえ、また鳴ってる」
家族と顔を見合わせる夜が増えた。音は決まって遅い時間に始まり、途切れては、また鳴る。
次にいつ鳴るのかを待ってしまうから、余計に眠れなかった。
壁の時計に目をやると、いつも同じあたりを針が指している。
上の階の人が何をしているのかは分からない。ただ、音だけが規則正しく降ってきた。
眠りが浅いというのは、思っていたよりも生活のすべてに響く。
目の下にくまを作ったまま家を出る朝が続いて、私はとうとう階段を上がった。
その一言で、用意した言葉を飲み込んだ
ドアを開けたのは、疲れた顔をした住人だった。
「夜、少し音が響いていて」
「すみません、聞こえてましたか」
その人は深く頭を下げて、それから小さな声で言った。
「仕事で片付けるのも、夜しかなくて」
私は、次に言おうとしていた言葉を全部飲み込んだ。
玄関の奥には、開けたままの段ボールが積まれていた。
この人には、あの時間しか残っていないのだ。
階段を下りながら、うまく整理のつかない気持ちを抱えていた。
眠れないのはつらい。でも、あの人が困っていないわけでもない。どちらかが悪いと言い切れたら、きっと楽だったのだと思う。
それでも眠れないことに変わりはなく、管理会社にも相談した。担当の方は最後まで話を聞いてくれた。
「一度、掲示でお知らせしてみます」
約束どおり、共用の掲示板には夜間の生活音への注意を呼びかける紙が貼られた。
音は少しだけ減った。けれど、なくなりはしなかった。もともと、なくせるような音ではなかったのかもしれない。
「また始まったね」
家族とそう言い合うのが、いつのまにか我が家の夜の合図になっていた。
怒るでもなく、笑うでもなく、ただ確かめ合うだけの会話。
やがて私は耳栓を使って眠るようになった。耳をふさげば、たしかに音は遠のく。ただ、自分の家で耳をふさいで眠っているという事実だけが、いつまでも喉に引っかかっていた。
結局その音は、私が引っ越す日まで続いた。
誰かが悪かったわけではないと思う。あの人にも、あの時間しかなかったのだと、今なら分かる。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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