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「お年玉は、あげ合わないでおこう」兄弟でそう決めたはずの約束。だが、弟に子供が生まれて感じた違和感とは

「お年玉は、あげ合わないでおこう」兄弟でそう決めたはずの約束。だが、弟に子供が生まれて感じた違和感とは

ややこしくなるからと、兄弟三人で決めたはずだった

兄弟三人でそう決めた正月が、ずいぶん前にあった。

まだ誰にも子どもがいないころで、話の流れがいつのまにか、先の付き合い方になった。

誰かに子どもができて、誰かにできなかったとき、お年玉のやりとりは必ずややこしくなる。

そう言い出したのは兄だった。

「お年玉は、あげ合わないでおこう」

私も弟もうなずいた。包む額で気を遣い合うのも、あげたあげないを数えるのも、兄弟でやることではない。そのときは三人とも本気だった。

それから何年かして、弟に子どもが生まれた。

私は決めたとおり何も渡さなかった。ところが正月に顔を出すと、兄が弟の子どもにお年玉を渡している。

「うちは気にしなくていいから」

兄はそう言って笑っていた。ただ、その流れを作っていたのは、どちらかといえば弟のほうだった。

座敷に落ち着くと、決まって弟から兄に声がかかる。

「兄さん、今年も頼むよ」

弟に悪気があるようには見えなかった。子どもが喜ぶ顔を見たいだけで、兄が断らないから、それが毎年の形になっていっただけだ。

お年玉に限らず、誕生日でも節目でも、同じことが繰り返された。

困ったのは、約束を守っている私のほうだった。

渡していないのは私だけになり、集まるたびに、私が出し惜しみをしている空気になる。

決めたとおりにしているだけなのに、悪いのはこちらのような気持ちにさせられる。

去年と今年、弟の子どもたちが入学した。今まで何もしてこなかったからと、私は多めにお祝いを包んだ。

それでも渡したあと、気持ちはすっきりしなかった。このまま続けば、あの約束は無かったのと同じになる。

座卓を囲んだ正月に、私からもう一度切り出した

その正月、みかんの皿が回ってきたところで、私は自分から口を開いた。

責める話にならないよう、穏やかに言ったつもりだ。

「昔決めた約束をもう一度、話し合わないか?」

あげ合わないと決めたのは三人だし、崩れたのも三人のせいだ。

私だけが守っている形も、兄だけが渡している形も、どちらも長くは続かない。そう続けた。

しばらく黙っていた兄が、湯呑みを置いた。

「正直なところ、毎年きつかった」

言い出せずにいたのだと、兄は初めて明かした。

弟は驚いた顔をして、そんなつもりじゃなかった、と小さく頭を下げた。

「じゃあ、元に戻そう」

弟のその一言で、話は終わった。

誰も怒らず、誰も責められなかった。翌年から、兄の封筒も、私の包みもなくなった。

子どもたちは変わらず騒がしく、兄はようやく、ただの伯父の顔で座っている。守るはずだった約束は、こうしてもう一度、兄弟三人のものに戻った。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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