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「ねえ、見てて」息子に何度も声をかける男の子。私が返事をすると、小さな本音を口にした

「ねえ、見てて」息子に何度も声をかける男の子。私が返事をすると、小さな本音を口にした
雲梯から聞こえた声
土曜の午後、息子と近所の公園へ行きました。
息子は砂場の縁にしゃがみ、持ってきた恐竜の人形を一列に並べています。私は少し離れたベンチに座り、水筒の蓋を開けたところでした。
そのとき、雲梯のほうから声が聞こえました。
「ねえ、見てて」
小学生くらいの男の子が、雲梯にぶら下がっています。
近くのベンチには、その子のお父さんらしき男性が座っていました。時折顔を上げてはいましたが、男の子は砂場にいる息子のほうを見ています。
息子は声に気づいていないのか、恐竜の向きを変えることに夢中でした。
男の子は端まで渡りきると、もう一度こちらを見ました。
「いまの、見た?」
今度は息子も顔を上げました。しかし、自分に話しかけられているとは思わなかったようで、すぐに恐竜へ視線を戻します。
男の子は少し困ったような顔をして、再び雲梯に手をかけました。
途中まで進んだところで足を大きく振り、体を揺らしてみせます。
「ねえ、聞いてるの」
怒っているというより、どうすれば息子に振り向いてもらえるのか分からず、焦っているような声でした。
言えなかったひと言
私はベンチから立ち上がり、息子に声をかけました。
「お兄ちゃんが、雲梯を見てほしいんだって」
息子はようやく状況が分かったようで、男の子を見上げます。
「もう一回やって」
その言葉を聞いた男の子の表情が、ぱっと明るくなりました。
「じゃあ、どこまで行けるか数えて」
息子は砂場から立ち上がり、雲梯の下まで走っていきます。
「いち、に、さん……」
男の子が一つ進むたび、息子が大きな声で数えました。
端まで渡りきると、男の子は得意そうに地面へ飛び降ります。
「ぼくは最後まで行けるよ。やってみる?」
息子は雲梯を見上げ、少し迷ってから首を振りました。
「ぼく、半分までしか行けない」
すると男の子は、すぐに言いました。
「半分まで一緒に行こうよ。落ちそうになったら教えるから」
どうやら男の子が本当に言いたかったのは、技を見てほしいということだけではなかったようです。
一緒に遊びたいと言い出せず、雲梯の上から何度も息子を呼んでいたのでした。
今度は僕が数える
息子は男の子の後ろに並び、慎重に雲梯へ手を伸ばしました。
一つ、二つと進みますが、途中で足が止まります。
「あと一個だけ行けるよ」
男の子が下から声をかけると、息子はもう一つ先の棒をつかみました。
「できた」
地面に降りた息子は、うれしそうに笑っています。
それから二人は、滑り台へ走っていきました。
どちらが先に滑るかを決め、今度は追いかけっこを始めます。少し前まで言葉を交わすことさえできなかったのが、うそのようでした。
私はベンチに戻り、二人が遊ぶ姿を眺めていました。
しばらくして、男の子のお父さんが立ち上がり、帰る時間だと声をかけます。
男の子は父親のもとへ走りかけましたが、公園の門の前で振り返りました。
「また雲梯やろうね。今度は僕が数えてあげる」
「うん」
息子は大きく手を振りました。
男の子も笑いながら手を振り返します。
ほんの少し声をかける相手を間違えていただけで、男の子は最初から、息子と遊びたかったのだと思います。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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