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「お菓子を食べてれば静かにしてるから」参観中、教室を歩き回る下の子。担任が授業を止めて伝えたこと

教室の後ろに並んだ保護者
小学校で教えていたころ、1年生の担任を受け持った年の参観日のことです。
参観日には、預け先が見つからず、下のきょうだいを連れてくる保護者もいました。
そのため、教室の後ろや廊下には、未就学の子が座れるように小さないすを用意していました。
その日も、一人の母親が幼い女の子を連れて教室に入ってきました。
女の子は、授業を受けている児童の妹でした。
はじめのうちは、母親の足元にしゃがみ、上履き入れの紐を触りながら静かにしています。
しかし、算数の授業が半分ほど過ぎたころ、退屈したのか何度も立ち上がるようになりました。
母親はそのたびに女の子の肩へ手を置きましたが、すぐに保護者同士の会話へ戻ってしまいます。
袋を開ける音
しばらくすると、教室の後ろからカサカサという音が聞こえてきました。
振り返ると、母親がバッグからスナック菓子の袋を取り出し、女の子へ渡していました。
教室の中に菓子の匂いが広がり、窓際の児童が振り返ります。
その隣の児童も後ろを見たため、授業への集中が少しずつ途切れていきました。
「教科書の十二ページを開きましょう」
私は声を少し張り、児童たちの意識を黒板へ戻そうとしました。
すると、母親が隣に立っていた保護者へ、小さな声で話すのが聞こえました。
「お菓子を食べてれば、静かにしてるから」
隣の保護者は返事に困ったように笑い、すぐに前を向きました。
私も、食べ終わるまでは席にいてくれるのだろうと思っていました。
机の間を歩き始めた妹
ところが、女の子は菓子の袋を持ったまま、教室の中を歩き始めました。
机と机の間を進み、児童の筆箱や教科書を興味深そうにのぞき込んでいます。
近くを通られた児童が体をよけた拍子に、鉛筆を床へ落としました。
拾おうとした別の児童と頭がぶつかりそうになり、教室のあちこちから小さな笑い声が起こります。
「危ないので、お母さまのところへ戻りましょう」
私は女の子へ声をかけました。
しかし、女の子は聞こえていないように、そのまま姉の席まで歩いていきました。
そして姉のいすの端へ腰を下ろし、菓子の袋を差し出したのです。
姉は困ったように私を見ました。
母親は女の子を連れ戻すどころか、ほほ笑みながらスマートフォンを構えています。
授業を止めて伝えたこと
このまま続ければ、授業を受けている児童たちにも危険が及びます。
私はチョークを置き、教室の後ろにいる母親へ声をかけました。
「申し訳ありません。教室内での飲食はできませんので、お子さんと一度廊下へ出ていただけますか」
母親は驚いたように顔を上げました。
「でも、お菓子がないと騒ぐんです」
「静かに過ごすのが難しい場合は、廊下から参観していただいて大丈夫です。ただ、授業中の教室内を歩かせることはできません」
教室の後ろが静まり返りました。
母親は気まずそうにスマートフォンをしまうと、女の子の手を引いて廊下へ出ていきました。
私は児童たちのほうへ向き直り、何事もなかったように授業を再開しました。
「では、さっきの問題の答えを確認しましょう」
児童たちはすぐに教科書へ目を戻しました。
参観日だからといって、授業を受ける子どもたちの安全や集中を後回しにはできません。
保護者へ注意するのは勇気がいりましたが、あの場で声をかけるのも、担任である私の役目だったのだと思います。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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