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「コースの外だぞ」運動会で1人だけ全力で別方向へ走った子供。観客席で拍手がおきたワケ

「コースの外だぞ」運動会で1人だけ全力で別方向へ走った子供。観客席で拍手がおきたワケ
白い線に並んだ子供
子どもの通う幼稚園の運動会は、秋にしては暑い日でした。
園庭に張られた白いテントの下に保護者席が並び、私もいました。
プログラムの3番目が、年少のかけっこです。
園庭の隅では、先生が白い線の前に並べていきます。
「線のところに、立ってねー」
スタートからゴールまでは、見渡せる短い直線です。隣の父親が、カメラを構えました。
「うちのは次の組なんです」
先生が旗を上げます。
合図はピストルではなく、笛の音でした。
別の方向へ全力
笛が鳴った瞬間、3人がゴールテープへ向かって駆け出しました。残る1人が、体の向きを変えます。
その子は、園庭の反対側へ全力で走っていきました。腕を大きく振って、まっすぐです。
隣の父親が、カメラから顔を離しました。
「コースの外だぞ!」
園庭の向こうには、フェンス越しに公園の砂場と滑り台が見えます。
その子が向かっていたのは、たしかにそちらでした。
「先生、追いかけてますよ」
「追いつけていないですね」
保護者席から、笑い声が上がり始めます。
若い先生が追いかけますが、その子は向きを変えて、コースの外側を回っていきました。
「そっちじゃないぞー」
声のしたほうを見ると、いちばん前の列で父親らしき人がスマートフォンを掲げています。怒っている声ではありません。
楽しくてたまらない、という声でした。
テープの前で起きた拍手
3人がゴールし、係の先生がテープを持ち直します。その子は、まだ走っていました。
もう一度コースの外を回ったところで、追いついた先生に抱き上げられます。
両手を上げたまま、その子はゴールの前まで運ばれていきました。
先生が下ろすと、その子はテープを両手で持ち上げてくぐります。
そのとき、保護者席から拍手が起きました。
前の列から後ろの列へ、テントの下いっぱいに広がっていきます。私も手を叩いていました。
「いいもの見ましたね」
「これは残りますよ、記憶に」
先にゴールしていた子どもたちが、その子のところへ寄っていきました。輪になって、口々に何か言っています。
「楽しかったね」
放送席の先生が、マイクを持って言いました。
「年少さん、全員ゴールです」
拍手がもう一度大きくなります。予定より少しだけ遅れて、プログラムの4番目が始まりました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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