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「玄関を出た後、こう言ってたわよ」お盆のたびに帰省していた私。わざわざ陰口を報告してくる身内に絶句

「玄関を出た後、こう言ってたわよ」お盆のたびに帰省していた私。わざわざ陰口を報告してくる身内に絶句

年に一度、家が開け放たれる

夫の実家には、お盆の時期に決まった日がありました。

地域の人が総出で親族の家を回り、座敷に上がって飲み物とつまみを囲む、昔からの習わしです。

帰省するのは年に一度きりですから、近所の方の顔も名前もほとんど分かりません。

どの家の人で、誰の奥さんなのか、教えてもらってもその場で忘れてしまいます。

「お茶、お注ぎしましょうか」

言えるのはそれくらいでした。座敷の隅で膝を揃え、話しかけられたら笑って頷く。

二時間ほど、そうしてやり過ごすのが私の役目でした。

座がほどけてくると、誰かが私のほうを指して笑います。

「あれが東京のお嫁さんやろ。えらい静かやなあ」

「はい、すみません」

謝ることでもないのに、そう返すのが癖になっていました。

帰り道に渡される言葉

座敷を片づけて自宅へ戻る道で、いつも同じことが起きました。並んで歩く身内の一人が、思い出したように口を開くのです。

「玄関を出た後、こう言ってたわよ」

そこから先が続きます。愛想がない。挨拶の声が小さい。手伝いもせずに座っていた。どれも、あの座敷では一度も耳にしなかった話でした。

「どなたが、ですか」

「さあ、誰やったかしらねえ」

名前は出てきません。責めているようにも、面白がっているようにも見えないのです。天気の話をするのと同じ調子で、その人は私の評判を運んできました。

「気にせんでええのよ。ただ、耳に入れといたほうがと思って」

閉まった引き戸の向こう

翌年は、玄関で声を張って挨拶をしました。台所にも立って、空いた湯呑みを下げて回りました。帰り際、ひとりの方が笑ってくれます。

「今年はよう動いてはったね」

これで大丈夫だと思いました。それでも帰り道になると、やはり同じ人が横に並びます。

「張り切りすぎやって、言うてはった人がおったわ」

どう振る舞っても、玄関を出た後に何かを言われている。変わらないのはそこだけでした。座敷で笑っていたどの顔が、その声だったのかは分かりません。

夫にこぼしたこともあります。

「そんなん昔からや。気にせんとき」

耳に入れなければ済む話を、身内はわざわざ持ち帰ってきます。何のためにそれを私へ渡すのか、とうとう聞けずじまいでした。

あの習わしは、いつの間にか行われなくなりました。集まりも、帰り道の報告もありません。それでもお盆が近づくと、あの家の引き戸を閉めた、その後ろの数秒が浮かびます。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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