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「子どもはまだなの?」義実家で初めて囲んだ食卓。だが、質問攻めに感じた違和感

「子どもはまだなの?」義実家で初めて囲んだ食卓。だが、質問攻めに感じた違和感
大皿の並んだ座敷
結婚して最初の夏、夫の実家へあいさつに行きました。
座敷には親戚が集まっていて、唐揚げと煮物の大皿が湯気を立てています。
「まあまあ、たくさん食べてね」
義母は私の取り皿が空くたび、煮物を足してくれました。
夫は従兄弟に囲まれて、野球の話で笑っています。
和やかな席でした。ビールが二巡したころ、正面に座っていた夫の叔母が箸を置いて、こちらへ体を向けます。
「子どもはまだなの?」
唐揚げを取り分けていた菜箸が、皿の上で止まりました。
「…えっと、まだ、これからですね」
途切れない質問
叔母の声は、最初から最後まで明るいままでした。
責めているわけでも、意地悪をしているわけでもありません。私の取り皿に煮物を足しながら、次の質問が続きます。
「何人ほしいの。二人はいるでしょう」
「そうですね、いつかは」
「お仕事は何してるの。産休って取れるところ?」
「……取れる、と思います」
「今のうちよ。うちの子なんて遅かったから、あとが大変で」
助けを求めるつもりで、隣を見ました。
夫は従兄弟の話に相槌を打っていて、こちらの会話は届いていません。
義母は台所へ立ち、ほかの親戚は野球の続きを話しています。
座敷の中で、この会話だけが切り離されているようでした。
「ずいぶん聞くわねえ」
叔母の隣に座っていた親戚が笑いましたが、それは注意ではなく、ただの相槌です。話の向きは変わりませんでした。
「家賃はいくら。車は旦那さんの名義?」
「そのあたりは、夫が」
ひとつ答えるたびに、次が用意されています。
私は笑顔のかたちを崩さず、煮物を口に運び続けました。
帰りの車と、そのあと
「今日、疲れた?」
助手席でシートベルトを締めながら、夫が聞いてきます。
「ううん、みんないい人だったよ」
そう答えてから、窓の外へ目をやりました。(そこまで聞くんだ)と思ったことは、口に出していません。
叔母に悪気がなかったのは、たぶん本当です。
だからこそ、あの席で何と返すのが正しかったのか、いまも分からないままでいます。
あれから何度か義実家へ行き、そのたびに大皿の唐揚げが出ました。おいしいと言って食べています。ただ、あの座敷の畳と、笑顔のまま黙っていた自分の顔だけは、いまでもはっきり思い出せるのです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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