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「3枚持ってるのに、1枚だけなの!?」クーポンを使うために何度も並ぶ常連客。だが、店長が示したルールとは

チラシが折り込まれた土曜
5年ほど前、駅前の商業施設に入ったドーナツ屋で働いていました。
クーポン付きのチラシが入る週末は、開店前から店の外に列ができます。
そのクーポンは、1回のお会計につき1枚まで。券の裏にも小さな字でそう書いてあります。
その朝いちばんに入ってきたのは、顔を覚えている常連の女性です。
トレーいっぱいのドーナツと一緒に、クーポンを3枚並べます。
「これ、まとめて引いてね」
「申し訳ありません。1回のお会計につき1枚までとなっております」
「3枚持ってるのに、1枚だけなの!?」
女性はトレーを見下ろすと、ドーナツをいくつか脇へ押しやりました。
「じゃあ、こっちは戻して。1枚ぶんだけ買うわ」
下げた品を引き取り、会計をやり直します。袋を渡すと、女性は次を決めていました。
「3回並ぶから、1枚ずつレジに出すわ」
最後尾へ戻っていく常連客
言葉のとおり、女性はそのまま列の最後尾につきました。二度目の会計でも、同じようにクーポンが1枚出てきます。
そのころには列が自動ドアの外まで伸び、ベビーカーの女性や腕時計を気にするスーツの男性が並んでいました。
そして三度目。女性がまた最後尾へ歩いていくのが見えました。
「さっきの人だよね」
列のどこかから声が上がります。手が止まりかけたとき、厨房の扉が開きました。
「レジは続けて。私が話すから」
店長が示した正論
女性が三度目のカウンターに立つと、店長はレジ脇の案内を女性の側へ向け、列の後ろまで届く声で言いました。
「本日のクーポンは、1回のお会計につき1枚まででございます。並び直しをされた場合も、お一人さま1枚までの扱いとなります」
「そんなの、どこに書いてあるの」
「券の裏と、こちらの案内でご説明しております」
クーポンをつまんだ女性の指が、そこで止まりました。
「…あっそ、でも」
言いかけて、女性は後ろを振り返ります。
ドアの外まで続いた列が、そろってこちらを向いていました。
「もういいわ」
クーポンを財布に押し込むと、女性はトレーを返却台に置いて出ていきました。
「お待たせしました。お次の方、どうぞ」
列が動きはじめます。店長は伝票をめくりながら言いました。
「お断りしたのは正しいよ。次からは、最初に呼んで」
次にチラシが出た週末も、あの女性は来ました。
財布から抜いたクーポンは1枚だけで、私とは最後まで目を合わせませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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