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「コロネのチョコが少ない」レジで泣きそうになった女の子。だが、店員の優しさに救われた瞬間

昼過ぎのレジにできた列
近所のパン屋は、昼を過ぎたころが一番混みます。その日も六人ほどの列ができていました。
私の前に並んでいたのは、小さな女の子とお母さんでした。
女の子はトレーを両手で持って、じっと見下ろしています。
載っているのは、チョココロネがひとつ。上にチョコの粒が散らしてあるやつです。
「順番がきたら、自分で出すんだよ」
お母さんがそう言うと、女の子は小さくうなずきます。ずっと嬉しそうな顔でした。
ところが、レジの前に立った瞬間です。女の子の顔が、くしゃっとゆがみました。
「コロネのチョコが少ない」
粒を指さす手が、震えていました。
ケースの中には同じチョココロネが並んでいます。
よく見ると、上に載った粒の数が一つひとつ違うのでした。
女の子は最初に粒の多いものを見つけていたのでしょう。
どこかで別のトレーと入れ替わったようでした。
「もう並び直すのは大変よ。後ろの人も待ってるでしょ」
お母さんが小声で言いました。私の後ろにも、まだ人が続いています。
女の子はうつむいて、それでもトレーから目を離しませんでした。
店員が列を止めた3分
そのとき、レジの店員さんが手を止めました。
ずっとこの店にいる、落ち着いた雰囲気の女性です。
「よかったら、今すぐ一緒に選び直してきてくださいね」
女の子が顔を上げました。
「いいの」
「いいですよ。ゆっくりでいいですから」
それから店員さんは、列のほうへ向き直りました。
「少しお待ちくださいね。3分ほどで戻ってきますので」
後ろがざわつくと思いました。急いでいる人だっているはずです。
ところが、誰ひとり何も言いません。
私の後ろにいたスーツの男性は、腕時計をちらりと見てから、体を横にずらしました。
女の子が通りやすいように、道を空けたのです。
その後ろの年配の女性も、小さくうなずいていました。
女の子はお母さんの手を引いて、ケースの前へ走っていきます。
しゃがみ込んで、一つひとつを真剣に見比べていました。
店員さんはその間、急かしもせず待っています。
戻ってきた女の子が、トレーを胸の高さまで持ち上げました。
「これ、いっぱいついてる」
粒が、さっきよりもずっと多いコロネでした。
「いいの見つかったね」
店員さんが笑います。女の子も笑いました。
会計はすぐに済みました。時計を見たら、3分も経っていません。
私の番が来たとき、店員さんはいつもの調子で言いました。
「お待たせしました」
何でもないことをした、という顔でした。
店を出ると、駐車場の隅で女の子が紙袋をのぞき込んでいます。
「見て、これ」
その声が、こちらまで届いていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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