Share
「専業主婦は暇だろ、1日中、家にいるんだから」と言い切る夫。だが、子供2人を任せた結果

「暇だろ」が口癖の夫
夫は会社員で、私は専業主婦。小学生と幼稚園に通う子どもが2人いる。毎日働いてくれる夫には、心から感謝している。
ただ、玄関を開けるなり始まる話は、いつも決まっていた。
「今日も残業でへとへとだよ。外で働くのは、本当にしんどい」
その疲れを聞くのは構わない。困るのは、話の着地する場所がいつも同じことだった。
「専業主婦は暇だろ、1日中、家にいるんだから」
洗い物をしていた手が、思わず止まる。それでも私は、一応言い返してみる。
「専業主婦も、大変なことはあるよ」
「そう?昼寝もできるんだろ」
朝は2人を起こして着替えさせ、ぐずる下の子を抱えて幼稚園へ走る。帰れば洗濯物と昼食の支度が待っている。腰を下ろして麦茶を飲もうとしても、たいていは誰かの呼び声で立ち上がるはめになるのだった。
夫はスマホから顔も上げない。
そこで会話は終わる。何度伝えても、夫の中にいる「暇な専業主婦」は、少しも動かなかった。
1日だけ、代わってもらった
ある週末、外せない用事ができて、子ども2人を夫に1日だけ預けることにした。
夕方に帰宅すると、玄関には靴が散らばり、リビングの床はおもちゃと洗濯物で埋まっていた。シンクには食器が積み上がったまま。夫はソファに沈んで、天井を見上げている。
「ありがとう。大変だったでしょ。私の毎日の大変さも、少しは体感できた?」
「大変だったよ。でもそれは、俺が家事も子どもの世話も慣れてないからだ。慣れれば平気でしょ」
疲れきった顔で、それでも夫は胸を張るのだった。私は湯呑みをテーブルに置いて、静かに聞いた。
「じゃあ、慣れるまでやってみる?来月まで、毎週この日は任せるね。慣れたら平気なんでしょ」
エアコンの風の音だけが、やけに大きく聞こえた。夫の口が、半分開いたまま止まっている。
「いや、それは…来週は、ちょっと」
言いかけた言葉を飲み込んで、夫は視線を天井へ逃がす。そこへ、小学生の娘が寄ってきて無邪気に言った。
「パパ、来週もお休みなのに?」
リビングが、しんと静まり返った。
約束どおり、夫には毎週1日を任せた。3回目の日曜の夜、夫は洗濯物をたたみながら、ぽつりと切り出した。
「悪かった。慣れの問題じゃなかった」
「うん。やっと、同じ景色が見えたね」
それだけ返して、私は残りの洗濯物を夫の膝の上に置いた。夫は何も言わずに受け取り、黙ってたたみ続けた。
あの日から、夫の「外で働くのはしんどい」は聞こえてこなくなった。代わりに増えたのは「今日は俺が風呂に入れるよ」の一言。娘に「パパ、暇そうだね」と笑われるのが、今は一番こたえるらしい。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


