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「ベビーベッドに寝かせて、飯を作れ」泣く子を放って飯を急かした夫。だが、私の一言で抱っこを代わったワケ

「ベビーベッドに寝かせて、飯を作れ」泣く子を放って飯を急かした夫。だが、私の一言で抱っこを代わったワケ
夕方五時、腕の中で泣きやまない娘
出産して二か月。はじめての育児は、思っていた何倍も大変でした。
抱き上げれば泣きやみ、おろせばまた泣く。その繰り返しで、一日はあっという間に溶けていきます。
夕方の五時を回ると、決まって娘のぐずりが始まりました。
台所に立ちかけては戻り、また抱き上げて背中をとんとんと叩く。米を研ぐ手すら、ずっと止まったままです。
そこへ仕事から帰ってきた夫が、上着も脱がずにソファへ腰を下ろしました。
開口一番、これです。
「俺の飯!」
「今、あやしてるから待って」
「ベビーベッドに寝かせて、飯を作れ」
耳を疑いました。娘は顔を真っ赤にして、全身で泣いています。この子をおろした瞬間に泣き声が倍になることを、夫は一度も体験したことがないのです。
「それなら自分でチャチャっと作れば?」
「なんで俺が。さっさとつくってよ」
夫はスマホをいじり始めました。娘の泣き声が部屋中に響いても、目線ひとつ上げません。うちは築三十年の賃貸で、壁は驚くほど薄いのです。隣の生活音が聞こえるということは、こちらの声も筒抜けだということでした。
薄い壁を突いた、たった一言
私は娘を抱いたまま、ベビーベッドへ近づきました。そして、わざとゆっくり言ったのです。
「いいよ。この子がギャン泣きしてるのを放って、ご近所さんに育児放棄の家だと思われてもいいなら」
そう言いながら、娘の背中をそっとマットレスに近づけます。
夫の動きが止まりました。スマホを持った手が、宙に浮いたままです。
「……いや、それは」
「何か?」
「その、ほら、あの」
言葉が出てこないようでした。夫の視線が、私の手元と玄関のドアを行ったり来たりしています。娘の泣き声が一段と大きくなった瞬間、夫はソファから飛び上がるように立ち上がったのです。
「わかったわかった!俺が抱っこしとくから!」
さっきまで指一本動かさなかった人が、慌てて娘を抱き取りました。腕の位置が定まらず、へっぴり腰で揺れているだけ。正直、かなり滑稽な姿でした。
台所からちらりと見ると、夫は娘の顔を必死にのぞき込みながら、「泣きやんで、な、頼むから」と小声で繰り返しています。ご近所に響く泣き声のほうが、夫にはよほど怖かったようです。
その日を境に、夫は帰ってくると何も言わずまず娘を抱き上げるようになりました。「俺の飯」の一言は、あれきり聞いていません。
しばらくして、夫がぽつりとこぼしました。
「これ、片手で飯作るとか無理だろ」
「でしょうね」
私は鍋の火を弱めながら、それだけ返しました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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