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「携帯代の3万、今ちょうだいよ」祖父を看取った直後に祖母へ無心した父→私が泣きながら放った一言

「携帯代の3万、今ちょうだいよ」祖父を看取った直後に祖母へ無心した父→私が泣きながら放った一言
深夜の待合室で待つ家族
祖父が息を引き取ったのは、日付が変わる少し前だった。
親族みんなで最期を看取った。祖母は祖父の手を握ったまま、しばらく離さなかった。
看護師さんに身支度を整えると告げられ、私たちは病室を出た。案内されたのは、灯りを落とした外来の待合室だった。
長椅子が並ぶだけの、しんとした場所だ。
「おじいちゃん、痛くなかったかしらねぇ」
祖母がハンカチで目を押さえた。
六十年近く連れ添った人を、たった今送ったばかりだった。
伯母が祖母の背中に手を添える。誰も、うまく言葉が出てこない。自販機の低い音だけが響いていた。
そこへ、父が缶コーヒーを片手に戻ってきた。
祖母の正面の椅子に、どすんと腰を下ろす。
「なあ、母さん」
祖母が顔を上げた。
「これから親戚への連絡やら手続きやらで、バタバタするだろ」
「……ええ」
「携帯代の3万、今ちょうだいよ」
泣きながら怒鳴った夜
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
祖母がぽかんと父を見ている。伯母の手が、祖母の背中で止まった。
「連絡するにも金がかかるんだ。今のうちにもらっとかないと」
父は缶を開けながら、事務の話でもするような顔で言った。
気づいたら、涙があふれていた。
「お父さん、今そんなこと言って本当に有り得ない」
自分でも驚くほど大きな声が出た。父の手が止まる。
「……なんだよ、いきなり」
「おじいちゃんが亡くなって、まだ一時間も経ってないんだよ。おばあちゃんの顔、見てよ」
父は口を開きかけて、また閉じた。缶コーヒーを持つ手が、行き場をなくしたように宙で止まっている。
「いや、俺だって手続きのことを考えて…」
「自分の携帯代でしょう」
伯母が、静かに割って入った。
「兄さん、あんた今日くらい黙ってなさい」
叔父も長椅子から立ち上がった。
「連絡はこっちで回す。金の話をする日じゃない」
父は誰の顔も見られず、視線を床に落とした。言い訳の続きは、もう出てこなかった。
「……悪かったよ」
絞り出すような声だった。私は涙を拭いて、まっすぐ父を見た。
「謝るなら、おばあちゃんに言って」
父は立ち上がり、祖母に頭を下げた。それきり、待合室の隅の椅子に座って一言も喋らなかった。
私は祖母の隣に座り直して、その手を両手で包んだ。冷たくて、少し震えていた。
「ごめんね、こんな夜に」
祖母がそう言うので、首を横に振った。
「おばあちゃんが謝ることなんて、何もないよ」
祖母の肩に、そっと頭を預ける。窓の外はまだ真っ暗だった。それから葬儀が終わるまで、父が祖母にお金の話を持ち出すことは一度もなかった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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