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「勝手に開けて、何が悪いのよ」葬儀の控え室で開き直った甥の母。だが、従兄弟の一喝で状況が一変

控え室で始まった遺産の話
親族の葬儀の日でした。
通夜が終わり、斎場の控え室には十人ほどが残っていました。折り畳みのテーブルに缶ビールが並んでいます。
言い出したのが誰かは、もう覚えていません。
話題が土地と預金に移った瞬間、部屋の空気が変わりました。
「お前はなぁ!」
従兄弟の一人が、叔母に向かって声を荒げたのです。
叔母は肩をすぼめて黙っていました。
周りの親族は誰ひとり止めず、目を伏せて茶をすすっているだけでした。
その気まずさから逃げるように視線を落としたときです。
部屋の隅で、一番下の甥が床に置かれた叔母のバッグを開け、中に手を突っ込んでいました。
「それ、人のだろ。閉じなさい」
声をかけると、飛んできたのは甥の母親でした。
「あんたには関係ないでしょ」
叔父が言った、たったひと言
関係ないで済ませられる話ではありません。
私は叔母のところへ行き、事情を伝えました。叔母の顔色が変わります。
「人の鞄を、勝手に?」
「悪いのはどっちですか」
叔母がそう問うと、甥の母親は腕を組んで言い放ちました。
「勝手に開けて、何が悪いのよ」
控え室が、しんと静まり返りました。
最初に口を開いたのは、さっきまで黙っていた従兄弟です。
「いや、それはあかんやろ」
「人の鞄を漁ってる方が悪いに決まってる」
「親の教育がなってないんじゃないの」
次々と声が上がりました。甥の母親は顔を赤くして「うちの子は何も盗ってない」と言い返しましたが、味方はひとりもいません。
さっきまで目を伏せていた親戚たちが、今度は誰ひとり目を逸らさずに、彼女のほうを見ていました。
そこへ、ずっと奥で腕を組んでいた叔父が立ち上がりました。この親族の長男にあたる人です。
「そこに座りなさい。二人ともだ」
低い声でした。甥の母親は言いかけて口をつぐみ、それからゆっくりと畳に膝をつきました。
「今日が何の日か、分かってるのか。人の物に手を出すのを、お前は叱れんのか」
甥の母親はうつむいたまま、何も言えませんでした。甥が小さな声で「ごめんなさい」と言うと、叔父は「その言葉は、私にじゃない」と叔母を指したのです。
親子はそろって、叔母に頭を下げました。
「はっきりして、よかったです」
叔母はそう言って、バッグを膝に抱え直しました。頭を下げるでも、笑って流すでもなく、まっすぐ二人を見たままでした。
そのあと、遺産の話を蒸し返す人はいませんでした。叔母を怒鳴った従兄弟も、缶ビールを片付けながら「さっきは、悪かった」とだけ言ったのです。
あの日以来、法事の席で甥の母親が私と目を合わせることはありません。叔母の隣は、いつも空いたままです。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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