Share
「もしもし」祖母の訃報連絡中、無言で鳴り続けた子機…最後の一人に連絡がついた瞬間に止まった

「もしもし」祖母の訃報連絡中、無言で鳴り続けた子機…最後の一人に連絡がついた瞬間に止まった
電話帳を片手に始まった連絡作業
祖母が静かに息を引き取ったのは、よく晴れた朝のことでした。
家族で看取りを終えたあと、父が祖母の使っていた電話帳を持ち出して、親戚や知人に訃報を伝え始めたのです。
父はリビングの固定電話から、一件ずつ番号を確認しては、低い声で同じ言葉を繰り返していました。
私はその横で、祖母の身の回りの整理を手伝っていたのです。
「順番に、漏れなく伝えないと」
父は古い手帳の名前を一つずつ指でなぞりながら、慎重に進めていました。
電話帳には祖母の細かい字で、長年の交友関係が几帳面に並んでいたのです。
そのとき、祖母の部屋に置かれていた電話の子機が、急に音を立てて鳴り始めました。
父はリビングの親機を使っていたので、子機が鳴る場面ではなかったはずです。
何度も繰り返された無言の着信
慌てて受話器を取って耳に当てましたが、聞こえてくるのは沈黙だけでした。
もう一度「もしもし」と繰り返しても、相手の声は一切返ってきません。
雑音もノイズも乗らない、深いような静けさだけが受話口の向こうから流れてくるのです。仕方なくそっと切りました。
受話器を置いてから数分後、また同じ子機が鳴りました。
出ると、やはり無言です。
それを何度か繰り返しているうちに、私の中にひとつの直感が湧いてきたのでした。
子機の履歴を確認しても、相手の番号は「非通知」と表示されたままだったのです。
「もしかして」
父のところへ歩み寄って、電話帳を覗き込みながら静かに尋ねました。
連絡がまだ取れていない人はいるかと。父は手帳を一行ずつ確認したあと、一人だけまだ繋がっていない名前が残っていると答えたのです。
祖母と長い付き合いだったその方は、何度かけてもなかなか応答してくれない様子でした。
父が再度ダイヤルし、ようやく相手と話が繋がった瞬間でした。
連絡がついた途端の静寂
祖母の部屋の子機が、ぴたりと静かになりました。
それまで何度も鳴っていた着信音が、まるで役目を終えたかのように、二度と聞こえなくなったのです。
父も私も顔を見合わせて、しばらく言葉が出ませんでした。
祖母は最後の一人にどうしても自分の旅立ちを伝えてほしかったのかもしれないと。
リビングの空気が、すっと和らいだ気がしたのでした。
電話回線の不具合かと後日問い合わせもしました。当日の履歴に異常な記録は残っておらず、原因の特定はできないと説明されたのです。
合理的に説明できる出来事ではないと、いまも分かっています。
それでも家族の間ではあの朝の子機の話を、祖母の最後の伝言として語り継いでいるのです。子機はそれから何年も普通に使い続けましたが、無言の着信は二度と入りませんでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


