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「なんでここにいるの」彼に貸したイヤホンの位置情報がおかしかった。だが、別れた後の自分の行動に思わず恐怖した

夏の夜の交差点で交換した連絡先
出会いは夏の夜、都内の有名な交差点だった。
信号待ちの群衆の中で背の高い男に声をかけられ、軽い気持ちで連絡先を交換した。
「まあネタにはなるな」くらいの距離感だったのに、数回会ううちに付き合うことになった。
数ヶ月後、彼が「自分のがバッテリーやばくて」と言うので、ワイヤレスイヤホンを貸した。
「来週には返すから」と笑った顔だけは妙に覚えている。結局そのまま返ってこなかった。
ある朝、自分のスマホで位置情報アプリを開いたとき、貸したはずのイヤホンの位置がまだ表示されているのに気づいた。
電源が入っていれば私の画面に出る。彼は外しもせず充電も切っていなかった。
朝7時。住所は彼の自宅でも会社でもなく、駅前の繁華街の一角だった。
地図を拡大した瞬間、画面に出てきたのはチェックインが短時間でも可能なホテルの名前だった。
朝の通勤時間にそこにいる理由は、いくつも思いつかない。
「なんでここにいるの」
声に出した自分に少し驚いた。
怒りより先に、頭の中で計算が始まっていた。
前日に彼が「終電逃したから友達の家に泊まる」と送ってきたことも、急に思い出してしまった。
知ったあとも止められなかった毎朝の確認
普通なら、その日のうちに連絡して問い詰めるはずだった。
けれど私はしなかった。
「仕事の付き添いかもしれない」「イヤホンだけ置いてきた可能性もある」と、自分でも信じていない理屈を並べて、知らないふりをして1ヶ月を過ごした。
彼から届く「今日は会議だから返信遅れるね」というメッセージにも、絵文字つきで明るく返した。
会えば普通にデートをして、帰り際には「また連絡する」と手を振った。
そのくせ、指は正直だった。
気づけば毎朝、位置情報アプリを開いている。
通勤電車の中で、お昼休みのトイレで、深夜寝る前のベッドの中で。
朝7時は駅前、夕方はオフィス、週末の深夜はまた駅前。
位置が動くたびに、心臓だけが冷たくなる。地図に灯る小さな点を見て、私は怒っていなかった。
むしろ、明日も決まった時間に灯る点を見たくて仕方なくなっていた。
1ヶ月続けて、私はようやく彼に切り出した。
理由は「気持ちが冷めた」とだけ伝えて、浮気の話は最後までしなかった。
彼は数秒黙ったあと、「分かった」と返した。それだけだった。
別れて1週間、私はまだアプリを開いていた。
もう関係ないはずの相手の朝7時を、ベッドの中で確認していた。
1番怖いのは人間だと、よく言われる。けれど私が本当に怖いと思ったのは、画面の中の浮気男ではなかった。
真実を知ったあとも、止めずに毎朝彼の足取りを追い続けた、あの頃の自分の指の動きだった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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