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「これじゃ食べられない」三日月切りのトマトを突き返した好き嫌いだらけの義父。だが、義父の本性に献立を作る手を止めた

毎食繰り返されるダメ出し
義実家で同居を始めて半年。義父はとにかく食べ物の好き嫌いが多く、こちらが献立を考えて出すたびに、必ず一言いただくのが日課になっていた。
「ネギが乗ってるから食べられない」
「これ、きのこ臭いから無理」
豚汁に薬味のネギを散らせば箸が止まり、炊き込みご飯にしいたけを入れた日には茶碗ごと押しやられる。
私だって嫌がらせで入れているわけじゃない。栄養を考え、季節の食材を選び、味付けも薄めにしているつもりだ。
それでも、目の前で堂々と残されると、心がじくじくと擦り減っていった。
夫にこっそり相談すると、苦笑いで「昔からああいう人だから」と流される。義母も「もう諦めてるのよ」とため息をつくだけ。家のルールは義父の口に合うかどうか、ただそれだけで回っていた。
仕事を終えてスーパーに駆け込み、義父が箸を伸ばしそうな食材を頭の中で選り分ける時間が、本当はいちばん消耗していた。同じ煮物でもしいたけを抜き、ネギは別皿に。これだけ気を遣っても、テーブルに着いた瞬間に「あ、これ嫌い」と一言で覆されると、献立を考えていた数時間がただ削られていく感覚があった。
三日月型のトマトで張りつめた空気
あれは梅雨明けの蒸し暑い夜のことだ。義父が珍しく「冷やしトマトが食べたい」と言ってきた。
これなら好き嫌いの出ようもないだろうと、私は冷蔵庫から立派なトマトを取り出し、丁寧にくし形に切って氷水で締めて出した。
義父はひと目見るなり、箸も付けずに皿を押し返した。
「これじゃ食べられない」
「なにこの切り方。三日月型?薄くスライスしてくれなきゃ」
テーブルが、しんと静まり返った。義母はうつむき、夫は黙々とご飯を口に運んでいる。
私の手だけが、お玉を握ったまま空中で止まっていた。怒りよりも先に、これから何十年こうして測ったような薄さを求められるのかという疲れが、ずしりと肩に乗った。
翌週、私は試しに、義父の苦手な食材を一切使わない献立を組んだ。下ごしらえも盛り付けも完璧にしたつもりだった。
トマトはピーラーで紙のように薄くスライスし、ネギは一本も入れず、きのこも全部抜いた。それでも箸を置いた義父は、にやりと笑ってこう言った。
「今日のは、ちょっと味薄いな」
結局そういうことなのだ。文句を言うことが、義父にとっての食卓の儀式だったのだと、ようやく腑に落ちた夜だった。
何をどう変えても、最初に否定したい人間にはどんな料理も着地しない。私はその夜、献立メモを更新する手を初めて止めた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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