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「しばらく貸してもらっていい?」子供の物を借りたまま返さない親戚。だが、返すようお願いしたら、信じられない言葉をぶつけられた

「家族だから」が口ぐせの親戚
私には、何かにつけて「家族なんだから」を口にする親戚がいる。距離が近いのは悪いことではない、むしろ気を遣わずにいられて楽な相手のはずだと、はじめは私もそう思っていた。
実際、子どもたちもよく懐いていて、お土産を持ってきてくれることもあった。
その親戚は、家に来るたびに子どものおもちゃや文房具を手に取って、しげしげと眺める癖があった。
子どもが大切にしている物を、まるで自分のもののように撫でて、そのまま鞄の口を広げる手つきが止まらない。
「これ、しばらく貸してもらっていい?」
そう言ってバッグに入れる物の数が、年々増えていった。
最初のうちは、確かに後日きちんと返してもらえていた気がする。けれど次第に、貸したものが戻ってこないことのほうが多くなっていった。
気がつけば、子どものお気に入りの絵本や、買ったばかりのキャラクターのハンカチが、家から静かに消えていた。
子ども自身も「あれ、どこに行ったんだろう」と探し回ることが、少しずつ増えていった。
注意した瞬間、声色が変わった
あるとき、子どもが「あれ、まだ返ってこない」と寂しそうに口にした。
買ってあげたばかりの絵本だ。さすがに我慢の限界が近づいていたので、次に来た日に私は静かに切り出した。
「ごめんね、子どもが探してたから返してほしくて」
言葉を選んだつもりだった。声を荒げたわけでも、責めたわけでもない。
それでも、相手の表情はみるみる険しくなっていった。一瞬、こちらが何か悪いことを言ったかのように錯覚しそうな、強い視線だった。
「家族なのにケチくさいわね!ちゃんと返すわよ!」
放たれた声色が、これまでの親しげな調子と全く違っていた。
怒鳴っているわけでもないのに、空気だけがすっと冷たくなる。家族だからこそ何でも分かち合える、と日頃から言っていた人の口から出る言葉とは思えなかった。
後日、物は返ってきた。けれど、こちらが感じていた信頼は、もう元には戻らなかった。返してもらった絵本を子どもに手渡したとき、その重さが妙に他人行儀に感じられたほどだ。
(家族なのに、という言葉ほど、人を黙らせる強さを持っているのか)
言い返すこともできず、笑顔で受け流すこともできず。心の奥にだけ、ひんやりした感触が残った夜だった。
それからは、その人が来る日には、子どもたちに大切な物をしまっておくようにと、そっと声をかけるようになった。家族という言葉は本来あたたかいものだったはずなのに、今はどこか身構える合図のように感じている。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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