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「20歳の子、いますか?」婚活会場に長靴で現れて女性陣を物色していた男→数か月後に20代とカップル成立した瞬間

晴天の会場に響いた長靴の足音
私は婚活パーティーの主催手伝いとお見合いの仲介を仕事にしている。会場のセッティングから当日の進行まで、参加者より早く現地入りするのが日課だ。
その日は朝から雲ひとつない晴天だった。受付の準備をしていた私が顔を上げると、ロビーの奥からゴム長靴の足音が近づいてくる。
振り返って、思わず息が止まった。
汚れの目立つジャンパーに、何日も同じものを着ているとわかる毛玉だらけのズボン。
そして泥の跳ねた長靴。男性は受付に来るなり、参加者リストを覗き込もうと身を乗り出してきた。
「20歳の子、いますか?」
低い声でそう聞かれて、私は表情を取り繕うのに必死だった。
年齢欄を確認する。
45歳。
希望相手の年齢は、よりにもよって20歳。
会場に入った彼は、席に着くなり女性陣を一人ずつじろじろと品定めし始めた。
話しかけられた女性は皆、目線を逸らして黙り込む。
同業の主催者にあとで聞くと、地元では有名な人らしい。
どの会場でも同じ服、同じ振る舞い、同じ希望。
その日のフリータイムでも、彼に近づこうとする女性はゼロだった。
マッチング集計でも誰の名前も並ばず、彼は最後まで自分の希望を譲らずに帰っていった。受付でうつむいて書類を書く女性の手が、心なしか震えていたのを覚えている。
数か月後、別人のように現れた日
その彼が、数か月経ったある日、別の会場にやってきた。
受付に立った私は危うく声を上げそうになった。
髪はきちんと整えられ、清潔そうなジャケットを羽織っている。靴は革靴。あの長靴姿は跡形もない。
「今日はよろしくお願いします」
低い声だけは変わらなかった。会場での振る舞いも穏やかで、女性陣との会話も成立している。私は受付の裏で胸騒ぎを感じながら、進行表に視線を落とした。
(この前と本当に同じ人なの?)
そして、その日のフリータイムの後。マッチング集計が出て、彼の名前の隣に並んだのは、参加女性の中で最年少の20代の名前だった。
カップル成立の二人が並んで挨拶に来たとき、私は笑顔で送り出すしかなかった。
彼女は彼の数か月前の姿を知らない。あの長靴で会場を歩いていた姿も、女性陣が一斉に視線を逸らしていたあの空気も、何ひとつ知らないままだ。
もし、と考えると背筋が冷えた。もしあの姿を彼女が見ていたら。
もし地元での評判を耳にしていたら。それでも彼女はカップル成立を選んだだろうか。
会場の出口で頭を下げる彼の横顔を見送りながら、私はしばらくその場を動けなかった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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