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「その札、お客様が使うものではありません」貸切風呂を長時間使う女性。スタッフが気づいた清掃中の札

「その札、お客様が使うものではありません」貸切風呂を長時間使う女性。スタッフが気づいた清掃中の札
空いているはずの貸切風呂に「清掃中」の札
二年前、家族で温泉旅館に泊まったときのことです。
その旅館には、宿泊客が無料で利用できる小さな貸切風呂がありました。
予約制ではなく、空いていれば中から鍵をかけて利用する仕組みです。利用時間は一組30分程度を目安にするよう、入口にも案内が出ていました。
翌朝、私が貸切風呂へ向かうと、扉には「清掃中」と書かれた札が掛かっていました。
まだ朝の清掃が終わっていないのだと思い、その場を離れようとしたのですが、少し離れたところにいた女性客が教えてくれました。
「さっきまで、その札は掛かってなかったんですよ」
どうやら少し前に一人の女性が貸切風呂へ入り、その直後から札が掛かっているというのです。
ただ、その時点では事情がわかりません。
もしかするとスタッフが途中で札を掛けたのかもしれないと思い、私たちはしばらく待つことにしました。
ところが30分を過ぎても、扉は開きません。
さらに10分ほどすると、私たちの後ろにも宿泊客が並び始めました。
中からはドライヤーの音が聞こえたり、女性が誰かと電話しているような声が聞こえたりします。
どうやら入浴を終えてからも、脱衣所でゆっくり身支度をしているようでした。
待っていた男性客が、扉越しに声をかけました。
「すみません。こちら、まだ時間がかかりますか?」
すると中から、少し苛立ったような声が返ってきました。
「今使ってるの。順番待っててよ」
確かに先に入った人が利用するのは当然です。
ただ、目安の時間を大きく過ぎ、さらに入口には「清掃中」の札まで掛かっています。
さすがにおかしいと感じた一人が、フロントへ確認しに行きました。
「その札は、お客様が使うものではありません」
数分後、旅館のスタッフがやってきました。
スタッフは扉に掛かった札を見るなり、不思議そうな表情を浮かべました。
そして扉を軽くノックし、中の女性に声をかけました。
「失礼いたします。こちらの『清掃中』の札は、スタッフが清掃を行う際に使用するものです。お客様が掛けるものではございません」
廊下にいた私たちは顔を見合わせました。
どうやら女性は、入口近くに置かれていた札を自分で扉に掛けていたようです。
スタッフは続けて、貸切風呂は多くの宿泊客が利用するため、混雑時には目安の時間を守ってほしいと丁寧に伝えました。
すると中はしばらく静かになり、やがて扉が開きました。
女性は大きなバッグを持って出てくると、
「ちょっとゆっくりしたかっただけなのに」
と小さく言い、そのまま廊下を歩いていきました。
自分のペースでゆっくり過ごしたい気持ちはわかります。
ただ、共用の設備で、ほかの人が使えないような札まで利用してしまうのは違うのではないでしょうか。
スタッフは札を回収し、待っていた私たちに頭を下げました。
「お待たせいたしました。順番にご利用ください」
その一言でようやく列が動き始めました。
ほんの少し周囲への配慮があれば、誰も嫌な思いをせずに済んだはずです。旅先だからこそ、みんなが気持ちよく使えるようにルールを守ることの大切さを感じた出来事でした。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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