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「ベビーカーくらい置かせてよ!」共用廊下を3年間塞ぎ警告を無視した住人。だが、点検員の一喝で顔色が真っ赤に
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3年ふさがれた共用廊下
私が暮らすマンションでは、住人が共用廊下に私物を置きっぱなしにしていた。
大きなベビーカー、折りたたんだ自転車、季節外れの荷物まで、通路の半分を占領していた。
ただでさえ狭い廊下がさらに狭くなり、大きな荷物を提げているときなど、体を斜めにしないと通れなかった。年寄りの足では、うっかりつまずきそうで怖かった。
管理会社も黙っていたわけではない。「共用スペースに私物を置かないでください」という文書を、全戸に配ったチラシで何度も呼びかけていた。それでも住人は、どこ吹く風だった。見かねて、私が直接声をかけたこともある。
「避難のとき危ないから、片付けてもらえませんかね」
すると、返ってきたのはこんな言葉だった。
「ベビーカーくらい置かせてよ!」
子どもがいるんだから仕方ないでしょう、と言わんばかりだった。結局、注意の文書が配られても、私が頼んでも、廊下の私物は3年ものあいだ、片付くことはなかった。
点検員の一喝
転機は、思わぬ形で訪れた。マンション全体の消防設備点検が行われた日のことだ。点検員が各階の廊下を見て回り、私物で通路がふさがれた一角で、ぴたりと足を止めた。
点検員の表情が、みるみる険しくなった。
「これは消防法違反です。今すぐ移動させてください」
点検員は続けた。
「避難経路をふさぐのは、住民全員の命に関わります」
廊下じゅうに響く、強い口調だった。火事のとき、この物のせいで逃げ遅れる人が出る。
命に関わる重大な違反だと、点検員はその住人に直接、厳しく言い切った。
ちょうど居合わせた住人の顔が、さっと引きつった。いつも管理会社の注意を適当にあしらっていた人が、今度ばかりは何も言い返せない。
「あ、いや、これはすぐに……」
言いかけたきり、あとが続かない。物音を聞いて廊下に出てきた他の住人たちの視線が、いっせいにその人へ集まった。
「うちも、ずっと通りにくくて困ってたんですよ」
そんな声まで上がって、住人はいよいよ真っ赤になった。
「す、すぐ片付けます」
先ほどまでの強気は、跡形もなかった。そしてその日のうちに、廊下を占領していたベビーカーも自転車も、すべて室内へと運び込まれた。3年も動かなかった物が、専門家の一言で、ものの数時間で消えたのだ。
それ以来、廊下に物が置かれることは一度もない。あの住人は、私と廊下ですれ違うと、決まりが悪そうに目を伏せて足早に通り過ぎていく。
「やっと、まっとうに歩けるようになったよ」
妻と、そう言って笑い合った。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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