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「この納豆の容器、洗えばお皿になるでしょ」と主張する義母→薄暗い義実家で出された料理に箸が止まった

薄暗い台所の出来事
結婚して十五年。義実家との関係は穏やかで、義母は私にやさしく接してくれる。
それでも、訪ねるたびに小さな違和感が積もっていった。
玄関を入っても、家の中はいつも薄暗い。昼間なのに電気はついていない。
「電気、つけましょうか」
そう言うと、義母はやんわり首を振った。
「もったいないでしょ。目が慣れれば見えるから」
口癖は、もったいない。最初は倹約家なのだと微笑ましく思っていた。
物を大切にする姿勢は、本来なら見習うべきものだ。けれど、その日の台所で見たものが、私の中の何かを変えた。
流しの脇に、洗って伏せられた白い容器がいくつも並んでいた。
最初は保存容器か何かだと思った。よく見ると、それは納豆の空きパックだった。底の溝に乾いた白い筋がうっすら残っていて、それを何度も使い回しているのだと気づいた。
「義母さん、これは……」
「この納豆の容器、洗えばお皿になるでしょ」
義母は当たり前のように言って、その一つに煮物を盛りつけた。
出された料理に箸が止まる
食卓に並んだのは、薄暗い明かりの下で輪郭のぼやけた小鉢たちだった。
私は箸を持ったまま、手が動かなくなった。
差し出された漬物の袋に、見覚えのある印字がある。賞味期限は、ずいぶん前の日付だった。
「これ、大丈夫ですか」
「平気平気。ちょっと過ぎたくらい、もったいないもの」
義母は笑っていた。悪気はひとつもない。だからこそ、背筋がすっと冷たくなった。
子どもに取り分けられた皿も、洗い回した容器だった。プラスチックの縁は、長年こすられて細かく白く曇っている。それでも子どもは何も知らずに箸を伸ばし、義母はその様子を満足そうに眺めていた。
お下がりやもらい物に囲まれて育つ孫を見て、義母は嬉しそうにうなずく。
新しい物を買うという考えが、この家にはそもそもないのだと思い知った。
(この感覚は、私には一生わからないのかもしれない)
帰り際、義母はにこやかに袋を差し出した。
「これ、まだ食べられるから持って帰って」
中身は、やはり期限の切れた缶詰だった。受け取った手のひらが、ひんやりと汗ばんでいた。
悪い人ではない。むしろ優しい。それでも、薄暗い家の中で淡々と積み上げられていく価値観の隔たりに、私はただ立ちすくむしかなかった。
「ありがとうございます」
そう返すのが、精一杯だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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GLAM Lifestyle Editorial
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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