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「何をしているんだろう」ゴミ捨て場で監視する住人。だが、退去者続出で大家が一喝した結果

「何をしているんだろう」ゴミ捨て場で監視する住人。だが、退去者続出で大家が一喝した結果
初めてのゴミ出し
一人暮らしを始めたばかりの春だった。住んでいたマンションは、玄関を出てすぐ目の前がゴミ収集スペースになっていた。
曜日ごとの分別を覚えたばかりで、出し終えてもなんとなく緊張していた。
その朝、袋を置いて戻ろうとすると、同じくゴミを出しに来た女性がいた。
自分と同じ二十代くらい。なのに私が立ち去ったあともその場を離れず、出された袋を一つずつ確かめている。
(何をしているんだろう)
不思議に思っていると、後ろから別の住人がそっと声をかけてきた。
「あの方、ゴミ出しには厳しいから気をつけてね」
「そうなんですか」
「前にね、いつもより少し遅れた時間に出した人がいて。そうしたら、持って帰って次回にしてくださいって」
監視の朝
注意された人は、その場で口論になったらしい。
けれど話は本当だった。
彼女は決まった時間にあらわれ、収集スペースの前に立つ。少しでも違う袋を見つけると、出した相手を呼び止めた。
ある朝は、出勤前らしい男性が早足で袋を置いた瞬間だった。
「ちょっと。今日、その種類じゃないですよね」
「え、でも急いでて」
「持って帰って次回にして」
「次回って、燃えるゴミ来週でしょう」
「規則は規則です」
男性は舌打ちして袋を抱え直し、足早に部屋へ戻っていった。次は自分かと、ただ怖かった。
大家さんが動いた
そんな日々が続くうち、マンションから人が一人、また一人と出ていく。
退去の理由は、近所の立ち話で伝わってきた。
「またひと部屋空くんですって」
「やっぱり、あの監視がねえ」
ある朝、収集スペースに大家さんが立っていた。
彼女が袋を検めはじめたところへ、まっすぐ歩み寄っていく。
「ちょっといいですか。あなた、毎朝ここで他の人のゴミを確認していますよね」
「ルールを守らない人がいるので」
「それは私が見ます。次にほかの方の袋を開けたら、その時は契約の話をさせてもらいます」
声を荒らげるでもない、けれど逃げ場のない言い方だった。
彼女は何か言い返しかけて、口を開いたまま動きを止める。
「私は、ただ……」
その先は続かなかった。袋を持つ手を下ろし、目を伏せて、そそくさと自分の部屋へ戻っていく。
遠巻きに見ていた住人たちの間に、安堵のささやきが広がった。
「やっと言ってくれたわね」
翌朝、収集スペースに彼女の姿はなかった。
その次の朝も、また次の朝も。決まった時間に立っていた人影は、もう消えていた。
私はいつものように袋を置く。背中に張りついていた視線は、どこにもない。
「おはようございます」
通りかかった住人と、ごく普通に挨拶を交わす。初めて、誰にも見張られずに迎えるゴミ出しの朝だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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