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「触らなくていい!自分で拾えるから」破れた袋から荷物を落とした男性。だが、強く断られた女性が、もう一度かけた言葉

先にしゃがんだのは、私ではありませんでした
何年か前、休みの日の昼に買い物へ出た帰りのことです。
住宅街を歩いていると、少し先で高齢の男性が立ち止まっていました。近所に一人で暮らしている、顔だけ知っている方です。
足元には、スーパーの袋からこぼれたらしい野菜や箱がいくつも転がっていました。
袋の底が破れてしまったようです。
私が近づくより先に、通りかかった女性が足を止めました。
「大丈夫ですか。こっち、拾いますね」
女性はそう言うと、道路の端まで転がった物を拾い始めました。
ところが男性は、少し強い口調で言いました。
「触らなくていい!自分で拾えるから」
女性の手が止まりました。
「あ…すみません」
せっかく手伝おうとしたのに怒られてしまったように見え、私も声をかけるタイミングを失いました。
男性はしゃがんで荷物を拾おうとしましたが、破れた袋にはもう戻せません。
拾っては抱え、また一つ落とす。その繰り返しになっていました。
女性は、もう一度だけ声をかけました
先ほどの女性は、その場を離れませんでした。
少し考えてから、自分が持っていた買い物袋を一枚取り出します。
「これ、余っているので使いませんか。中には触りませんから」
男性はすぐには答えませんでした。
女性も無理に渡そうとはせず、袋を手に持ったまま待っていました。
しばらくして、男性が小さな声で言いました。
「…じゃあ、袋だけ借りるよ」
女性が袋を差し出すと、男性は自分で荷物を一つずつ入れていきました。
私も近くまで行きましたが、今度は勝手に手を出さず、「転がっているのは、あれで全部だと思います」と道路の端を指さしました。
男性は周りを見て、短くうなずきました。
荷物を入れ終えると、男性は女性に袋を見せるように持ち上げました。
「助かったよ。さっきは悪かったね」
「いえ、大丈夫です」
女性はそれだけ答えて、笑いました。
男性は何度もお礼を言うタイプには見えませんでした。それでも、帰り際には女性にもう一度頭を下げていました。
あのとき男性がなぜ最初に強く断ったのか、本当のところは分かりません。
ただ、自分でできることは自分でしたかったのかもしれません。
手伝うことだけが親切なのではなく、相手が受け取りやすい形に変えることもある。あの日、私は何もせず見ていたからこそ、その女性の二度目の声のかけ方が長く印象に残っています。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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