Share
「割引の品は買わないの」レジで突然始まった常連客の話。だが、後ろの客の一言で笑い話になった瞬間

「割引の品は買わないの」レジで突然始まった常連客の話。だが、後ろの客の一言で笑い話になった瞬間
突然始まった、常連客の買い物の話
スーパーのレジでアルバイトをしていたころの話です。
夕方になると、よく私のレジに並ぶ常連のお客様がいました。
会計はいつも手早く、こちらが商品を袋へ入れると、小さく会釈をして帰っていきます。
何か無理を言われたこともなく、私も顔を覚えている程度の関係でした。
その日も、いつものように商品のバーコードを読み取り、最後の商品を通したところでした。
すると、その方がかごの中を見ながら、ふと思い出したように言ったのです。
「レジで言うことでもないけど、割引の品は買わないの」
私は一瞬、返す言葉に迷いました。
「安いからって選ぶと、結局いらないものまで買っちゃうでしょう。だから私は、なるべく見ないようにしてるの」
なるほど、そういう考え方もあるのだとは思いました。ただ、私は会計をしているだけなので、何と答えるのが正解なのか分かりません。
「そうなんですね」
どうにかそう返して、会計を続けました。
悪いことを言われたわけではありません。それでも、こちらから話を広げるほどでもなく、少しだけ気まずい間ができてしまいました。
後ろから聞こえた、明るいひと言
そのとき、次に並んでいた年配の女性が、かごを台に置きながら楽しそうに口を開きました。
「あら、私は逆。貼ってあるのを見つけるとうれしくなっちゃう」
常連のお客様が振り返ります。
年配の女性は気にする様子もなく続けました。
「今日食べるものなら十分だし、ちょっと得した気分になるでしょう」
誰かを否定するような言い方ではありません。ただ、自分はこうしていると世間話のように話しただけでした。
常連のお客様も、一瞬驚いたあとで笑いました。
「そういう買い方もあるわね」
「そうなの。見つけるのが楽しいのよ」
二人が笑い合うのを見て、私もようやく肩の力が抜けました。
年配の女性は、私を助けようとして声をかけたわけではなかったのだと思います。それでも、どう返せばいいのか困っていた私にとっては、十分すぎる助け船でした。
「ありがとうございました」
常連のお客様はいつものように会釈をして帰っていきました。
続いて年配の女性のかごを見ると、値引きシールの付いたパンが入っています。私は思わず少し笑ってしまいました。
気まずさはいつの間にか消え、レジの列もまたいつもの速さで進み始めました。何気ない一言でも、言い方ひとつでその場の空気はずいぶん変わるのだと感じた出来事です。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


