Share
「写真と実物が違うよね?これはどういうことなの」レストランで不満を漏らす客。だが、店員がそっと示したのは

「写真と実物が違うよね?これはどういうことなの」レストランで不満を漏らす客。だが、店員がそっと示したのは
運ばれてきた天ぷらを、じっと見つめる人がいた
平日の昼、和食のレストランでひとり遅い昼食をとっていたときのことです。
通路をはさんだ隣の席に、天ぷらの皿が運ばれてきました。定食とは別に、単品で注文したもののようでした。
ところが、その人は皿を受け取っても箸をつけません。割り箸は袋に入ったまま、テーブルの端に置かれています。
しばらくすると、その人はメニューを開き、天ぷらの写真が載っているページで手を止めました。
写真を見て、目の前の皿を見る。また写真に目を戻す。その動きを何度か繰り返しています。
やがて、通りかかった従業員に声をかけました。
「写真と実物が違うよね?」
「写真を見て、おいしそうだから頼んだんです。それなのに、これはどういうことなの」
怒鳴っているわけではありません。腹を立てているというより、本気で違いが気になっている様子でした。
従業員はメニューを確認しながら、「写真は盛りつけ例となっておりまして、内容が変わる場合がございます」と説明しました。
すると、その人は首をかしげます。
「でも、それならどこかに書いてあるんですか?」
チーフが指した、写真の下の小さな文字
従業員はいったん席を離れ、少しして黒い前掛けをつけた男性と戻ってきました。ほかの従業員がチーフと呼んでいる人でした。
「お待たせしました。こちらをご覧いただけますか」
チーフは手にしていたメニューを開き、天ぷらの写真の下を指しました。
そこには、写真は調理例であり、仕入れなどによって内容や盛りつけが変わる場合があることが、小さな文字で記されていました。
「天ぷらは、その日に入った野菜によって内容が変わることがあります。そのため、写真とまったく同じ盛りつけにはならないんです」
チーフはそう説明したあと、「もし揚がり具合など、料理そのものに気になる点がございましたら確認いたします」と付け加えました。
その人は、示された一文をしばらく読んでいました。
「…ここに書いてあったんですね」
そして少し間を置いてから、端に置いたままだった割り箸を手に取りました。
「わかりました。いただきます」
チーフは軽く頭を下げて席を離れました。
隣からは、やがて天ぷらの衣が割れる小さな音が聞こえてきました。私も止めていた箸を動かし、残っていた味噌汁を温かいうちに飲みました。
大きな言い争いにはならず、書かれていた内容を一緒に確認したことで話が収まった。そのやり取りが、なぜか印象に残った昼でした。
※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事


