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「やっぱりやめとくわ」気に入ったカーディガンを棚に戻した母。だが、社会人の息子の行動に心温まった瞬間

やっぱりやめとくわ気に入ったカーディガンを棚に戻した母だが社会人の息子の行動に心温まった瞬間

久しぶりに、母と二人で買い物へ

母から電話があったのは、休みの前の日でした。

特に用事があったわけではなく、しばらく世間話をしたあと、母が「今度の休み、暇なら買い物に付き合ってくれん?」と言いました。

社会人になってからは実家に帰る回数も減り、母と二人で出かけることもほとんどなくなっていました。ちょうど予定もなかったので、次の休みに近くのショッピングモールへ行くことにしました。

当日、待ち合わせ場所に着くと、母はすでにベンチに座って待っていました。

「今日は何か買うの?」

そう聞くと、母は笑いながら「別に。見るだけ」と答えました。

母は昔から、自分のものにはあまりお金を使わない人です。家族に必要なものは迷わず買うのに、自分の服となると「まだ着られるから」と何年も同じものを使っていました。

その日も雑貨店や日用品売り場をのぞきながら、特に何かを買う様子はありませんでした。それでも、普段とは違う店を見て回るだけで楽しいのか、母はいつもよりよくしゃべっていました。

気に入った服を、母が棚に戻した理由

何軒か回ったあと、一軒の服屋に入りました。

そこで母が手に取ったのが、淡い色のカーディガンでした。

「これ、ええ色やね」

そう言いながら鏡の前で体に合わせています。母が自分から服を手に取るのは珍しかったので、私は「似合ってるじゃん」と言いました。

母も少し気に入ったようで、袖や生地を確かめていました。

ところが値札を見ると、「うーん」と小さく声を出し、そのまま服を棚へ戻しました。

「買わないの?」

「今日はええわ。家にも似たようなのあるし」

そう言って、母はすぐに別の棚へ歩いていきました。

確かに、無理をして買うようなものではありません。それでも、さっきまで嬉しそうに鏡を見ていた姿が少し気になりました。

昔、私が学生だったころは、靴や通学に必要なものを買いに行くと、母は「必要なら買っとき」と言ってくれました。一方で、母自身が「これが欲しい」と言っているところは、ほとんど見たことがありません。

私は少し迷ったあと、母が戻したカーディガンを手に取りました。

そして、そのままレジへ向かいました。

後ろから母が気づいて、「何しとるの」と追いかけてきました。

「たまにはいいでしょ。今日付き合ってくれたし」

「いやいや、自分で払うよ」

母は財布を出そうとしましたが、私は「社会人なんだから、これくらい買わせてよ」と言って、そのまま会計を済ませました。

店を出てからも、母は少し申し訳なさそうにしていました。

それでも袋を持ちながら、「じゃあ、今度これ着て出かけようかな」と言いました。

その言葉を聞いて、買ってよかったと思いました。

特別高価なプレゼントではありません。ただ、子どものころは母に買ってもらう側だった自分が、今は母に何かを贈れるようになった。そのことが、少し不思議でした。

帰り際、母は「また暇なとき付き合ってな」と言いました。

次に一緒に買い物へ行ったときも、きっと母は「見るだけ」と言うと思います。でも今度は、何か欲しそうにしていないか、少しだけ気にして見てみようと思っています。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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