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「そこ、俺の席なんだけど!」新幹線の指定席で文句を言う乗客。だが、チケットを確認した結果

発車間際に上がった声
名古屋へ向かう新幹線の指定席で、発車を待っていたときのことです。
通路を挟んだ斜め前から、大きな声が飛んできました。
「そこ、俺の席なんだけど!」
立っていたのは、上着を腕にかけた男性でした。
通路側に座っていたのは、一人で乗っていた女性です。
「私の席だと思うのですが」
「12番Bは俺の席だ、間違うわけない」
女性はバッグからチケットを出して、番号のところを相手に向けました。
「ほら、ここに書いてあります」
ところが男性は、目もくれずに言い切ったのです。
「そんなの間違ってるに決まってる」
周りの乗客が一斉に本やスマホへ視線を落としました。
私も声をかけられないまま、通路の先を見ていたのです。
女性は立ち上がる素振りを見せず、チケットを持った手を膝に戻しました。
声を荒らげ返さないぶん、その場の空気だけが重くなっていきます。
並べられた二枚のチケット
やがて通路を歩いてきた車掌が、二人の前で足を止めました。
「恐れ入ります、両方拝見してもよろしいでしょうか」
女性がチケットを差し出し、男性も渋々ポケットから出します。
車掌は二枚を手のひらの上に並べ、指で番号をなぞりました。
「お座席は、どちらも12番Bでございます」
「ほら見ろ、俺の席だろ」
「ただ、号車の数字が違っております」
指先が、券の左側の小さな数字で止まりました。
男性のチケットは、二つ先の号車だったのです。座席の番号だけが、たまたま同じでした。
「こちらの車両は、お客様の号車ではございません」
男性の口が半分開いたまま、言葉が続きませんでした。
券を見つめ、目線を車掌に戻し、また券に落とす。それを二度くり返して、そのまま黙り込みます。
先に立って歩いた車掌
車掌は勝ち誇るような顔をひとつも見せませんでした。
「ご案内いたしますので、どうぞこちらへ」
そう言って、先に立って通路を歩き出します。
「……ああ」
男性はそれだけ返して、上着を抱え直しました。何か言いかけたようでしたが、口をつぐんだままです。
デッキの扉が閉まると、車内の空気がふっとゆるみました。
「お騒がせしました」
女性が周りに小さく頭を下げ、席に座り直します。
「大丈夫でしたか」
窓側の乗客が声をかけると、女性は困った顔で笑いました。
「番号、合ってましたよね」
「合ってましたよ。ちゃんと」
あちこちで小さくうなずく人がいて、それきり誰もその話をしません。
窓の外を街並みが流れはじめ、車内は静かなままでした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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