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「早くしろよ、なんでこんな待たせる」待ちきれない客。だが、店長が数字で示した途端、大声の客が黙った瞬間
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土曜の昼、レジの前で
学生のころ、ファストフード店でアルバイトをしていました。
土日の昼はとにかく混みます。その日も、入口の外まで列が伸びていました。
私はレジに立って、注文を受け続けていました。
厨房も手が回らず、商品ができ上がるまでの時間が、少しずつ延びていきます。
三組目の会計を終えたときでした。
「早くしろよ、なんでこんな待たせる」
カウンターの前に立った男性のお客様が、トレーの置き場を手で叩きながら言いました。
「申し訳ございません。ただいま混み合っておりまして」
「そんなのはこっちの都合じゃないだろ」
「順番にご用意しておりますので、もう少々お待ちください」
「店長を呼べ」
その声は、店の奥まで届いていました。
並んでいたお客様たちが、話すのをやめます。
子ども連れの家族が、そろって目を伏せたのが見えました。
私は次の注文を受けるしかありません。指先が震えて、レジのボタンを押し間違えそうになりました。
店長が引いた線
厨房の奥から店長が出てきました。走ってはいません。
「お待たせしております。店長でございます」
「何分待たせるんだ。ふざけてるのか」
店長はまず深く頭を下げ、それからまっすぐ顔を上げました。
「ただいま、平均で10分ほどお待ちいただいております。お急ぎでしたら、この場でご返金いたします。ただ、順番は変えられません」
責める調子ではありませんでした。声を張ってもいません。
道を尋ねられて答えるのと、同じ調子でした。
男性のお客様が、口を開きかけます。
「……返金って」
「はい。レシートをお預かりできれば、すぐにお返しできます」
そこから、言葉が続きませんでした。
ポケットへ伸びかけた手が、途中で止まります。そのまま、下ろされました。
男性は、そこで初めて後ろを振り返りました。
列の全員が、同じ10分を待っていたのです。
「……いや、いい。待つよ」
それきり、声は上がりませんでした。
店長はもう一度頭を下げて、厨房へ戻ります。
すぐに商品が出はじめ、止まっていた列が動き出しました。
次に呼んだお客様は、トレーを受け取りながら小声で言いました。
「大丈夫?」
「はい。ありがとうございます」
その一言で、指の力が抜けたのを覚えています。
閉店後のレジ締めで、店長が一度だけこちらを見て、うなずきました。
謝るだけが仕事ではない。
スタッフの前に立って守るのも店長の仕事なのだと、そのとき知りました。
翌週の土曜も、店は同じように混みました。
私はもう、手を震わせずにレジへ立っていました。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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