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「洗濯物は取り込んでおくよ」外出から帰ったら何もしてない夫。だが、妻が本音をぶつけると

任せて、と言った休日の夕方
休日の夕方、玄関で靴を履きながら、私はベランダを振り返った。よく晴れた日で、タオルもシーツも、風を受けてぱんと張っている。
「日が落ちる前に、洗濯物だけ取り込んでおいてくれる?」
ソファの夫は、こちらを見ないまま右手を上げた。
「洗濯物は取り込んでおくよ」
その返事に安心して、私は出かけた。頼んだのは、それひとつだけ。難しいことは何も言っていない。
用事を終えて戻ってきたのは、夜の入り口だった。門を開けた瞬間に、目に入ってしまった。二階のベランダに、洗濯物がそのまま並んでいる。街灯の明かりに、シーツの白がぼんやり浮かんでいた。
玄関を開けると、テレビの音と、スマホをこする指の音がした。夫はソファの同じ場所にいた。クッションのへこみの位置まで、出かけたときと変わっていない。テーブルには、封を切ったお菓子の袋と空のグラスが並んでいた。
「ただいま。洗濯物、まだ出てるよ」
「ああ、あとでやろうと思ってた」
画面から目を離さずに、夫はそう言った。
できないなら、先に言って
ベランダに出ると、乾いていたはずのタオルが、夜露を吸ってひんやり湿っていた。昼間の日なたのにおいは、もうどこにも残っていない。
抱えて下りてくると、台所ではまだ何も始まっていない。時計は7時を回っていた。
結局、私は米を研ぎながら、片手でシーツをたたむことになった。
洗い物を終えて、私は正面に座り、テレビを消した。
「後回しにされると、結局そのまま私の仕事になるの。だから、できないなら最初に言ってほしい」
夫の指が、スマホの上で止まった。
「いや、やる気はあったんだよ。ただ、タイミングが…」
「そのタイミングは、今日は来なかったよね」
夫は言い返そうとして、口を開いたまま黙り込んだ。しばらくして、スマホを裏返してテーブルに置く。
「……ごめん。次からはすぐやる」
「うん。断ってくれたほうが、私はずっと助かるから」
謝られても、笑ってごまかすつもりはなかった。言うべきことは、最後まで言い切った。
次の休日、私が買い物袋を提げて帰ると、洗濯物は畳まれてソファに積んであった。夫は少し得意げに、こちらを見ている。
「今日は日が落ちる前にやったから」
その次の週には、こんな返事が来た。
「悪い、今日は無理そうだ。先に言っとく」
できないと先に言われるほうが、放置されるよりずっといい。あの夜からわが家の家事は、頼んだ人が抱え込む仕組みではなくなった。ベランダの前で立ち尽くすことも、もうない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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