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「そんな大げさにするな、平気だろ」高熱で動けない私を放置した夫。だが、自分が寝込んで初めて頭を下げた
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「そんな大げさにするな、平気だろ」高熱で動けない私を放置した夫。だが、自分が寝込んで初めて頭を下げた
39度の朝、動かない背中
結婚して3年目の冬、朝起きると体が鉛のように重かった。
体温計は39度2分。立ち上がると視界の端が白く滲む。壁伝いにリビングへ出ると、夫はソファに沈んでスマホをいじっていた。
「ごめん、今日は夕飯だけでもお願いできる?」
返ってきたのは、画面から目を離さないままの声だった。
「俺も仕事で疲れてるし、冷蔵庫に何か入ってるだろ」
冷蔵庫にあるのは、卵と使いかけの豆腐だけ。それでも何か作らなければと、ふらつきながら台所に立った。
手に力が入らず、鍋の蓋が音を立てて落ちる。
その背中に、夫の声が飛んできた。
「そんな大げさにするな、平気だろ」
平気なわけがなかった。味噌汁を温め直すだけで額に汗が滲み、流しに手をついて息を整える。その音にも、夫は振り返らなかった。
結局その夜は、戸棚の奥から見つけたレトルトのおかゆで済ませた。夫はそれを平らげて、風呂に入って、いつも通りに眠った。
私は熱の引かない体で、その寝息をずっと聞いていた。
2週間後の寝室
その2週間後、今度は夫が熱を出した。
38度9分。会社を休み、寝室から情けない声で私を呼ぶ。
「頭が割れそうだ…水、持ってきてくれないか」
私はおかゆを炊き、氷枕を替え、薬を用意した。夫は布団の中で子どものように丸くなっている。枕元に湯呑みを置いてから、私は静かに言った。
「あの時の私は、本当にこんなにつらかったんだよ」
夫の目が、天井から私のほうへ動いた。
「……いや、でも、あの時は俺も仕事が」
言いかけて、飲み込む。掛け布団を握った手が止まった。
ちょうどその時、様子を聞きつけた義母から電話が入った。
夫が出られないので私が代わりに出て、そのままスピーカーにする。
受話器の向こうから、はっきりとした声が響いた。
「え、あんた、お嫁さんが39度の時に何もしなかったの?」
夫は何も言い返せなかった。電話が切れたあとも、しばらく沈黙が続いた。
それから夫は布団から半分身を起こし、私に向かって深く頭を下げた。
「…ごめん。本当に、悪かった」
「うん。分かってくれたなら、それでいい」
私はそれだけ返して、湯呑みを下げに立った。
あれから、どちらかが体調を崩した日の役割は決まっている。熱を出した方は寝る。もう片方が、台所に立つ。
先週、私が少し咳をしただけで、夫は買い物袋を提げて帰ってきた。
「今日は寝てて。おかゆ、俺が作るから」
ソファに沈んだままだったあの背中を、私はもう見ていない。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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