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「お宅のトマト、昨日より2つ減ったわね」他人の庭の状況を把握しようとする隣人。だが、ダミーの防犯カメラを設置した結果

「お宅のトマト、昨日より2つ減ったわね」他人の庭の状況を把握しようとする隣人。だが、ダミーの防犯カメラを設置した結果

留守中の収穫まで知っている隣人

庭の片隅で、小さな家庭菜園をしている。トマトやきゅうりを植えて、実がなるのを楽しみに世話をするのが、私のささやかな趣味だった。

異変を感じたのは、隣の女性との立ち話だった。彼女は、我が家の野菜の育ち具合を、なぜか私よりも詳しく知っていた。

「お宅のトマト、昨日より2つ減ったわね」

ある朝、ゴミを出しに出た私に、彼女はそう声をかけてきた。たしかに前の日、私は赤く熟れたトマトを2つもいで、朝食に使った。けれど、それを彼女に話した覚えはない。

「え……なんで、ご存じなんですか」

「だって、いつも見てるもの。昨日は昼過ぎに、あなたお出かけしてたでしょう」

その日、私は昼から夕方まで外出していた。家には誰もいなかったはずだ。留守の間に、彼女は我が家の庭をのぞいて、実の数まで数えていたことになる。

「きゅうりも、そろそろ採り頃じゃない? 曲がってるのが一本あったわよ」

「そこまで、よく見てらっしゃるんですね」

まるで自分の畑のように、彼女は言う。背筋がすっと冷たくなった。留守中の庭を毎日のぞかれていると思うと、洗濯物を干すのもためらわれた。

玄関に付けた一台のカメラ

気味の悪さに耐えかねて、私はネット通販で防犯カメラを一台注文した。実は電源も入らない、見た目だけのダミーだ。それでも大きく目立つ本体を選び、玄関の軒先に、庭の方へ向けて取り付けた。

設置した翌日には、もう効果が表れた。庭に出た私に、隣の女性が近づいてくる。その視線は、まっすぐ軒先のカメラに向いていた。

「あら……あれ、いつ付けたの?」

声が、あきらかに上ずっていた。

「物騒なので、庭も映るようにしたんです」

私がそう答えると、彼女は一瞬、言葉に詰まった。

「そう……最近は、物騒だものね」

目が、しきりにレンズと私の間を行き来している。いつもの詮索めいた勢いは、すっかり影をひそめていた。彼女はそれだけ言うと、そそくさと自分の家へ引っ込んでいった。

その日を境に、あれほど毎日のように続いていた我が家の野菜の話は、彼女の口から一切出なくなった。庭で顔を合わせても、天気の話をして目を逸らすだけだ。

トマトが何個実ったかを私より先に言い当てる人は、もういない。留守中の庭を、心置きなく世話できる毎日が戻ってきた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。

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