Share
「そんなところ、勝手に座る?」漏水点検に来た大家。だが、部屋でのありえない振る舞いに思わず絶句

突然やってきた点検のつもりが
アパートに引っ越して1年ほど経ったころ、管理会社から連絡が入った。
「近隣で漏水が確認されたので、室内の点検をさせていただきます」
日程を合わせて当日を迎えると、作業員だけではなく物件のオーナー自身が玄関に立っていた。
初めて顔を合わせる相手だった。
点検は手慣れた様子で進んだが、水まわりを一通り確認した後、オーナーはリビングでそのまま立ち止まった。
部屋には椅子もソファもない。
キッチンの前に小さな作業スペースがあるだけで、腰を落ち着けられる家具らしい家具といえばテレビ台くらいだった。
次の瞬間、オーナーはそのテレビ台に腰を下ろした。
「あ……」と声が出そうになったが、間に合わなかった。何か書類でも確認するのかと思ったら、ポケットからスマートフォンを取り出して画面を見始めた。
黙ったまま、ただスクロールしている。
(そんなところ、勝手に座る?)
目の前の光景が信じられなかった。点検は終わっているのに、オーナーはそのままの姿勢で10分近く動かなかった。
何も言えないまま終わってしまった
その間、何を話すわけでも、何かを尋ねるわけでもなかった。
ただスマートフォンを操作し続け、やがて「では失礼します」と立ち上がって帰っていった。
玄関が閉まった後、ひとりでリビングに立っていた。
テレビ台は家具の中で最も低い位置にある。飾り棚として使っているものだったし、人が腰掛けることを想定した強度でもない。
何より、住人に一言も確認せず断りなく座ることへの違和感が、じわじわとこみ上げてきた。
もちろんオーナーにとってここは自分の物件だ。だからといって、居住者がいる室内で家具を無断で使っていいわけではないはずだ。
でも面と向かって「やめてください」とは言えなかった。顔を合わせたばかりの相手に、クレームをつけるのは気が引けた。
「やめてほしいけど、何も言えなかった」
その後しばらく、事あるごとにその場面が頭に浮かんだ。
点検自体には何の問題もなかったし、オーナーが何か乱暴なことをしたわけでもない。それでも、あの無言のままテレビ台に腰を下ろした瞬間がずっと引っかかっている。
解消されないままモヤモヤだけが積もった出来事だった。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
ほかの小説も読む
CHARACTERS
登場人物から探す
THEME
テーマ・シチュエーションから探す
ENDING
結末から探す
最も人気の短編小説
もっと見る >スカッとする短編小説
もっと見る >モヤモヤ短編小説
もっと見る >ゾッとする短編小説
もっと見る >LINEの短編小説
もっと見る >実体験をもとにした短編小説
もっと見る >恋愛トラブル
もっと見る >ハラスメント
もっと見る >金銭トラブル
もっと見る >浮気・不倫
もっと見る >迷惑
もっと見る >仕事のトラブル
もっと見る >非常識
もっと見る >LINE誤爆
もっと見る >思わず気持ちが晴れた「スカッと」
思い出しても背筋が凍る「ゾッと」
その感情を、物語にしませんか。
GLAMでは、あなたのリアルな体験エピソードを
お待ちしています。

GLAM Lifestyle Editorial
編集部
日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
Feature
特集記事

